最終年度は以下の作業を実施した。(1)全球水資源モデルH08のソースコードの改良を行い、実時間シミュレーションに対応させた。すなわち、シミュレーション期間の自由度を高め、任意の開始時点と終了時点を設定できるようにした。(2)気象庁気候データ同化システムJCDASのデータを定期的に取得するプログラムを作成した。JCDASからは2日程度の遅れで全球気象データが配信されるため、これを入力データとすることでH08の実時間シミュレーションが可能となる。(3)再現性を評価するため、2000年から現在に至るまでのシミュレーションを実行した。この期間中の世界の主要な旱魃や洪水がどのようにシミュレートされたか解析と考察を継続して行っている。 研究期間全体を通じて、全球水資源モデルを実時間シミュレーションするための研究基盤が整備された。従来、全球水資源モデルは過去の長期の全球気象データを利用してシミュレーションが行われてきたが、早期警戒への応用が難しいほか、そもそも直近の洪水や旱魃をシミュレーションできないという問題があった。今回、ソースコードを改良し、JCDASを利用することにより、最短で2日前までのシミュレーションの延長と、早期警戒の実現可能性が高まった。
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