研究課題/領域番号 |
23760471
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
薄井 智貴 東京大学, 空間情報科学研究センター, 特任助教 (20549448)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | プローブデータ / LOS / パーティクルフィルタ |
研究概要 |
今年度は,2つの研究を実施した.1.交通サービスレベルデータの生成アルゴリズムの検討とベースシステムの構築鉄道・道路探索モジュールを用いて,マルチモードでの経路探索を可能にしたLOSデータ生成システムを構築した.本システムは,緯度経度で表される起終点情報(ODデータ)ファイルを入力値とし,道路経路距離,アクセス・イグレス駅名,距離,鉄道乗換回数,所要時間を出力値としており,得られた情報からマルチモード所要時間を計算し,一定のフォーマットに出力することで,LOSデータを作成することができる.本システムを用いて,東京・中京・松山の3都市圏のパーソントリップ調査から得られる代表交通が自動車のODデータに対してLOSを作成し,別途作成した交通手段転換モデルの入力値として利用し,環境負荷および鉄道事業者収支の計算を試みた.ODデータ408,971[trip]に対してLOS計算を行った結果,1tripあたり平均28[sec]の処理時間で個別に出力値を算出する場合に比べて1/10以下の処理速度となった.2.プローブデータクリーニング手法の改良とプローブデータ収集のための実証実験プローブデータの高精度クリーニングを目的として,ベイズ統計手法を用いたデータ処理アルゴリズムを実装し,ローカルマシンにて処理テストを行った.プローブデータは,Android端末を持つ数人の被験者から得られた測位間隔5秒のGPS測位データを用い,パーティクルフィルタ手法によるデータ補正処理を実験的に行った.結果,測位間隔によってパラメータの調整が必要ではあるものの,おおむね尤もらしい補正結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は交通サービスレベル(LOS)データ生成支援システムのベースとなるLOS生成プログラムを構築した.道路ネットワークや鉄道ネットワークは,デジタル道路マップを用いて作成し,距離計算や経路探索に用いた.ただ,データ入手が困難だったバスネットワークについては,現状ではまだシステムに反映できておらず,次年度の課題となった.また,プローブデータクリーニング手法に関しては,GPSロガーを用いて数人の行動履歴を収集し,パーティクルフィルタやカルマンフィルタを用いたデータ補正技術を検討し,ローカルマシンにてデータ処理を行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,プローブデータ収集のためのアプリケーションの開発を行い,実測結果を収集する.収集した観測データを用いてLOSデータの補正手法を開発し,生成支援システムのベースデータとして活用する.また,LOS生成支援システムをWeb-API化し,LOSを動的に生成できるよう研究者向けに公開する.
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次年度の研究費の使用計画 |
大量のプローブデータ収集のために本格的なスマートフォンアプリケーションを開発する.そのための開発マシンやアプリケーションソフト,調査に使用するGPS観測携帯端末機器,データ収集用通信カード,研究成果の公開用サーバ(設備費)を研究費にて購入予定である.また,Webサービス公開用システムの構築やスマートフォンアプリケーションの改修費も計上した.
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