研究課題
本研究では,慢性化している都市高速道路ネットワークの混雑緩和策として,交通状況に応じてJCT合流部の車線数を変更する動的可変チャンネリゼーションを提案し,首都高速道路(以下,首都高)を対象として,その運用手法の提案および実用化に向けた検討を行った.その効果評価のために,ミクロ交通シミュレーションによる局所分析と,その結果を反映したメソ交通シミュレーションによる広域分析を組み合わせた手法を提案した.この手法は,動的交通運用の効果を当該区間のみならず道路ネットワーク全体の交通性能の変化で評価することで,本来評価すべき効果を的確かつ体系的に評価したことに大きな意義があり,今後,どのような渋滞対策の評価においても活用できるものと考えられる.首都高を対象とした動的可変チャンネリゼーションの運用手法としては,エリア流入制御の概念を導入し,都心環状線の渋滞を防ぐことで放射道路の渋滞の緩和を図った.効果評価のためには,ETCデータから推定したOD交通量および車両感知器データを利用してシミュレーション環境を構築した.都心環状線の3か所のJCT合流部に導入した場合は,その効果が大きく期待できる結果が得られたが,都心環状線の全てのJCT合流部に導入した場合は現状に比べて著しい効果は見られなかった.動的可変チャンネリゼーションの実用化に向けた検討では,可変バリアーを利用して物理的に車線閉鎖を行う手法を想定し,閉鎖された車線を走行する車両の車線変更における安全性の評価をドライビングシミュレータ実験により行った.その結果,物理的な車線閉鎖が行われない場合に比べて安全であるとは考えられるが,バリアーへの衝突や無理な車線変更による事故リスクが確認された.しかし,可変情報板等によるドライバーへの情報提供でこのような事故リスクは減らせることを示唆する結果が得られた.
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)
生産研究
巻: Vol. 65, No. 2 ページ: 165~169