研究課題/領域番号 |
23760481
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
SCHMOECKER J.D. 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70467017)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 大衆心理の影響 / 旅行需要予測 |
研究概要 |
申請書に記載したワークパッケージ1(WP1),WP2に基づき,バンドン工科大学と連携し,自動車保有に影響する要因の調査・分析をインドネシア,バンドンを対象として実施した.特に,"mass-effects(大衆心理効果)"に着目し分析を行った.研究成果を国際会議で2回発表を行っている.WP4に基づき,交通需要予測における大衆心理の影響(mass-effects)を解明するため,動的な成立過程モデルを構築し,考察を行った.現時点ではモデルの決定論的な部分は構築済みであり,確率的な部分について,愛媛大学,イギリス・リード大学と共同で実施している.研究成果は近日中に論文投稿(査読付)予定である. 当該論文では,社会科学,進化ゲーム理論,マーケティングの既往研究を参考に大衆心理の影響(mass-effects)を,自動車指向のライフスタイルと公共交通指向のライフスタイルの選択を行うというシナリオ分析に関するモデル化により記述した.具体的には,バスモデルと同様に構成員を「先導者」と「追従者」にわけて,それぞれにおいて2つのライフスタイルの選択割合及びそのダイナミクスを表現できるモデルを構築した.さらにケーススタディを行った結果,公共交通指向型のライフスタイルを選択する効用を低く設定した場合においても,交通混雑,公共交通のサービスレベルの向上や大衆心理の影響を考慮することにより,公共交通指向型のライフスタイルへ移行することが確認された.さらに,確率モデルをより精緻化したモデル改良についても行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況は,インドネシアでの調査において,若干の手戻りが発生した程度であり,概ね計画通りである.研究初年度は,台湾,スウェーデン,レバノン,アメリカの共同研究者と分析データの収集を行っている.モデル構築に関する研究も適切に進められている.研究内容の国際会議等での発表を通じ,本研究は他の研究者からの高い関心を集めており,新たな共同研究者も加わるとともに,本研究成果の論文発表も期待されているところである.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の予算はおおむね下記の報告となります予算は今まで得られた研究結果の発表のための学会出席のために使用される予定です。論文の概要は‘European Symposium on Quantitative Methods in Transportation’であり、すでに投稿済みとなっています。加えて、一部の予算は日本国内で同じ分野の研究者と会議をする費用として使用される予定となっており、その中で、愛媛大学の羽鳥剛史氏と会う予定があります。一部の予算は研究のためにデータ収集のためと、学生がデータ収集に携わりデータ分析を行うために使用される予定です。5月にベイルート・アメリカン大学よりマヤ・アブダビ・ザイド氏が京都を訪問し、共同データについて討論します。Agentに着目したモデルを深い理解のために多数の書籍が必要となっています。そして、業務遂行のためにしようされるプリンターのトナーと消耗品の購入のために予算を消費する予定となっています。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を進める上での今後の方向性は多岐にわたる.計量経済モデルの開発に加え,実証的な研究も継続して実施する計画である.WP5に示したような,Agentに着目したモデルの開発といった,新たなアプローチでも進める方針である.これまでの調査・研究を継続し,より深化させることの方が,新たな手法を開発するよりもより高い研究成果が得られるものと考えている.
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