研究課題/領域番号 |
23760483
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶋本 寛 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90464304)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ネットワーク解析手法 / トリップチェーン / 統合型配分モデル / 変分不等式問題 |
研究概要 |
研究初年度にあたる平成23年度は,まず最初に本研究に関連する研究をネットワーク解析手法など数理モデル構築に関する研究をはじめとして,トリップチェーン分析を含む交通行動分析など幅広い分野から網羅的かつ体系的にレビューした.その結果,既往の交通機関選択を内生化した統合型ネットワーク配分モデルの多くは,公共交通における乗客行動を精緻に表現していないものや,正確に表現したとしても実規模ネットワークへの適用が難しいものがほとんどであることを再度確認し,本研究で構築するモデルの目標を具体的に設定した.次に,公共交通における乗客行動を精緻に表現しつつ実規模ネットワークへの適用可能な統合型ネットワーク配分モデルを変分不等式問題として定式化し,解の特性について検討を加えた.さらに,実規模ネットワークへの適用に耐えうる解法アルゴリズムを提案した.さらに,同一個人のトリップチェーンでは,各トリップ間の交通機関選択は相関しており,多くの場合1種類の交通機関を選択するという,交通機関選択に関するより現実に近い条件を課した均衡状態を,上記で構築した統合型配分モデルを拡張することができた.その上で,構築したモデルを仮想ネットワークに適用して,モデルの性能評価を行った.さらに,次年度に実ネットワークへの適用を計画しているが,これを問題なく遂行するために,国土交通省近畿地方整備局より第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査の個票データを入手し,その基礎集計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルの構築が完了し,仮想ネットワークへの適用計算の結果妥当な結果が得られていることが確認できており,当初予定通り研究が遂行できていると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
研究第2年度においては,研究初年度で構築した統合型配分モデルを都市圏規模ネットワークへ適用するために収集済みの京阪神都市圏パーソントリップ調査の個票データの整理を行う.その後に,構築済みのモデルを京都市ネットワークに適用し,京都市における公共交通サービス評価を行う.さらに,先行研究で構築済みの最適バス路線網決定モデルの下位問題に本研究で構築する統合型配分モデルを実装し,利用者の1日全体の移動を考慮した最適バス路線網の考究を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
本モデルを実規模ネットワークに適用するには計算負荷が大きく,計算機を占有せざるを得ない.そのためのコンピュータの購入を計画している.さらに,研究初年度の研究成果を国内外の学会等で積極的に公表したいと考えているため,そのための旅費の使用を計画している.
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