研究課題/領域番号 |
23760489
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
真田 純子 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (60452653)
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キーワード | 路線的商業地域 / 用途地域 / 都市計画 |
研究概要 |
単なる市街地面積の縮小ではない手段で集約型都市構造を実現する、新たなコンパクトシティ概念の確立に向けて、戦前期の都市計画導入期に、どのように近代都市計画を受容したかを明らかにするのが、本科研のテーマである。そのために、都市の大きさに関わる制度や都市計画の実態を様々に調査することとしているが、24年度はそのうち、都市の大きさに戦前の地方都市計画の路線的商業の実態を明らかにした。 本調査は、郭壁で囲まれた中で発達した西洋の都市とは異なり、街道沿いに商業が発達することの多かった日本の都市が、近代都市計画制度を受け入れたときの実態を明らかにするためのものである。 具体的には、国立公文書館等に残された内務省都市計画地法委員会の資料をもとに、路線型商業地域を定めていた都市計画を抽出した。その結果、戦前期に都市計画要と地域を定めた全117都市計画区域の内、114区域において路線的商業地域を導入していたことが明らかとなった。公文書に書かれている指定理由は、ほぼ横並びの内容のため、明確な理由は明らかとはならなかった。しかし、当時の地形図、終戦直後の航空写真等との比較により、江戸時代からの街道沿いの商業地等を追認するもののみならず、新たな場所都市計画決定した街路沿い等にも路線的商業地域を指定していたことが明らかとなった。また、街路計画と照らし合わせた結果、対象となった街路は、都市計画街路のなかでも広幅員の主要幹線街路であったことが明らかとなった。これにより、商業地を集約するという考え方はなかったこと、実態としては郊外に拡散するような都市計画が行われていたことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度に田園都市の分析、24年度に路線的商業地域の分析を行い、大きな研究は達成できている。25年度には、教科書の分析、ヒアリングという比較的軽い調査を残すのみとなっているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたるため、残りの調査を進める。具体的には、戦前の教科書の分析、および当時の都市計画を学んでいた人へのヒアリング、現在都市計画の制度設計をになっている人へのヒアリングを行う。 また、成果を対外的に発表する準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越額は、1)戦前の教科書の購入、あるいは図書館等での複写費、2)ヒアリングのための交通費、3)ヒアリングの補助、ヒアリング内容のとりまとめのための研究協力謝金、4)対外的な成果発表のための投稿料、学会への旅費等に使用する予定である。
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