研究課題
若手研究(B)
本研究では、長期的都市戦略の検討において最も基本的な情報である世界の各都市圏の人口推計方法を構築することが目標である。既往研究では、その理論的、経験的妥当性が十分検証されていないが、本研究は Random Growth Network モデルを活用し、都市規模の経験分布を保証する理論モデルを開発し、それを用いた将来人口推計を行う点に特徴がある。この目的を達成するため1)都市人口データ、地理情報データの更新、整備2)都市圏の空間的成長機構の解明・モデル化3)地理情報データに基づく適合性指標の構築4)世界都市圏別人口推計モデルの再現性の検証5)SRES シナリオに基づく 2100 年までの都市圏別人口の推計を行ったその結果、都市規模分布の経験則を満たす都市圏人口が推計された。想定したSRES シナリオの下では、今後、途上国を中心に人口巨大都市が数多く出現することが見込まれるが、それはシナリオによって大きく異なることが示された。人口 1 千万人以上のメガシティの数は、総人口が 120 億人を超える A2 シナリオでは今世紀末には 134 都市となるのに対して、今世紀半ばに人口がピークアウトする B1 シナリオでは、メガシティの数は A2 シナリオの半分程度にとどまる。ただし、いずれのシナリオにおいても、南アジアやアフリカといった途上国で巨大都市が数多く出現するとの結果を得ており、今後、こうした地域での都市整備の重要性が高まることが示唆された。
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土木学会論文集 D3(土木計画学)
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