農村部から都市部へ人口が集中しつつある都市型の社会では、都市における十分な水供給を行うことが必須不可欠の課題である。都市における安全安心な水利用を行う上では、水量・水質両面の充足が用排水システムに求められる役割であり、その中でも健康影響をもたらす消毒副生成物の制御が重要であることは論を待たない。さらに、気候変動による既存の水資源の不安定化が予想されることから、下水処理水の再生利用、地下水の有効利用など都市内部において新規の水資源を獲得することが必要となる。一方、これらの新規水資源は、既存の都市活動の影響を受けているため、水質面の安全性については一層の注意を払う必要がある。 都市部での水安定供給に向けて、下水処理水・新規地下水源の活用が期待されると同時に水質面のより厳しい監視が求められる。本研究では、新規消毒副生成物としてNDMAを取り上げ、その処理手法としての紫外線処理の効率化を検討した。従来より短波長の紫外線照射が効果的である可能性が分かり、従来ランプ(254nm)より短波長の222nmランプを検討した。222nmランプによるNDMAの分解効率と溶存物質による分解への影響を検討した。水質条件によって254nmと222nmのどちらが効率的が異なる結果を得ることができた。また、さらに220-254nm付近を出力する新規蛍光エキシマランプを使用すると、副生成物の生成を抑制しながら、効率的に分解できることが分かった。
|