嫌気性芽胞菌(ウェルシュ菌)は保存性の高い糞便汚染指標および原虫の汚染指標として使用されている。本研究では、ヒトの糞便汚染をソーストラッキングする指標としての有効性を評価した。下水および牛、豚の糞便試料から嫌気性芽胞菌を分離して、ウェルシュ菌毒素遺伝子をマルチプルPCR法で検索した。すべての試料で、検出された嫌気性芽胞菌のほとんどがA型のウェルシュ菌であった。A型ウェルシュ菌のうち、エンテロトキシン(cpe)遺伝子陽性株はヒト排水では約30%の割合で分離されるのに対して、牛豚の試料からは1株(牛)のみであった。このcpe陽性ウェルシュ菌はヒトのソーストラッキング指標として有効と考えられる。
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