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2015 年度 実施状況報告書

凝集阻害対策と高効率処理を目指したキトサンを主成分とする凝集助剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23760509
研究機関福島工業高等専門学校

研究代表者

高荒 智子  福島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80455112)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード凝集沈殿 / 凝集補助剤 / キトサン / 凝集阻害
研究実績の概要

本年度は,キトサンの凝集補助が作用する原水の水質範囲について検討した.特に,凝集反応に影響を与える濁度およびpHに着目し実験を行った.具体的には,ポリ塩化アルミニウムとキトサンの併用処理を行い,濁度およびpHの異なる原水に対してジャーテストを行うことでキトサンが凝集補助剤として効果的に作用する至適範囲を求めることとした.
その結果,PACのみでは処理効率が低下する低濁度領域でもキトサンの添加によって処理効率が回復し,10.2NTU~83.6NTUの全濁度領域でキトサンの凝集補助作用が確認された.一方,原水のpHに関しては,pH6~8の原水においてPACとキトサンの併用処理で比較的良好な濁度除去率を示したのに対し,pH4~5.5の原水においては,濁度除去率は20%を下回った.これらの傾向は,PACのみによる処理の結果と似た傾向を示していることから,キトサンのpH至適範囲はPACと同等の範囲であることが分かった.この理由は,キトサンの凝集補助はPACによって形成された微小フロックに対して作用するためであり,酸性の原水の場合,PACの水和反応が十分に進行せずに微小フロックが形成されないため,キトサンを添加しても架橋反応が起こらず,結果的にフロックが形成されなかったと考えられた.このことから,キトサンが凝集補助剤として十分に作用するには,前段のPACによる微小フロックの形成が十分に行われることが必要であることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

育児中で短時間勤務で働いており,研究のための十分な時間が確保できないことから進捗状況としてはやや遅れている.延長申請をお願いしているので,残りの1年をかけて本研究をままとめる予定である.

今後の研究の推進方策

凝集阻害を引き起こす藻類対策としてのキトサンの作用を検討する.凝集阻害を招く藻類であるMicrocystisを培養し,藻類増殖による水質変動や細胞による濁質上昇に対してキトサンの凝集補助作用の効果について検討する.また,これまでの凝集阻害対策はPACの過剰注入が主な対応方法であり,発生汚泥の増加などの副次的問題を招いていたことから,キトサンによる発生汚泥量の削減効果についても検討する.

次年度使用額が生じた理由

進捗状況で言及したように研究の進みはやや遅れている状況であり,計画通りの実験が行えなかった分の研究費が残っている.延長申請により来年度も引き続き研究内容を継続することから,残額の研究費は主に来年度の実験のための経費として使用する.

次年度使用額の使用計画

キトサンの凝集補助による藻類の凝集沈殿への寄与,および発生汚泥の削減効率に関する実験の経費として使用する.具体的には,藻類培養や藻類由来有機物の抽出,凝集実験,および汚泥評価に必要な機材のために使用する計画である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 凝集補助剤キトサンに関する濁度およびpHの至適範囲2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤優樹・高荒智子
    • 学会等名
      土木学会東北支部技術研究発表会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2016-03-05

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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