研究課題/領域番号 |
23760522
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松本 幸大 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00435447)
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キーワード | FRP / ハイブリッド構造 / 空間骨組構造 / 摩擦係数 / クリープ試験 |
研究概要 |
FRP形材と鋼ガセットプレートとを用いた接合部に対して長期ボルト軸力モニタリングを行い,張力低下を定量的に評価するための実験結果を引き続き収集した。具体的には,ボルトの軸部に歪ゲージを埋め込みボルト張力を精度よく計測できるよう加工したM20ボルトとブラスト処理された鋼板,板厚6.3mmのGFRP形材によるボルト接合部を対象として,座金の大きさ2種類(40および56mm),座金の厚さ4種類(無し,4.5,6,および9mm)締め付けトルク値(60,150,300および475N.m)とした試験体についてボルト軸力モニタリングを行った。結果として,面積が大きく厚い座金を用いることで張力低下が改善されることや,50年後の予測として50%程度まで張力が低下すること,大型の座金を用いることで10%程度の改善が見込めることを明らかとした。 FRP形材と鋼材ガセットを用いたハイブリッド構造高力ボルト摩擦接合部の長期接合部耐力の変化を明らかとするため,ボルト締め付け後,三カ月における接合部引張および圧縮載荷実験を行い,耐力・破壊性状を分析した。一カ月の養生期間中は長期軸力として30kNおよび60kNを導入し続け,接合部のクリープ性状も同時に観察した。結果として,部材としてのクリープは生じないこと,養生期間を設けることでボルト張力は低下するものの摩擦係数は0.45以上の大きな値が得られ,従来,支圧接合設計されていたこの種の合成構造において,摩擦耐力も期待できることを明らかとした。 実験を実施した接合部周辺の有限要素解析を行い,実験結果より得られたボルト張力の低下の傾向と,各種座金を用いた場合のFRP材の締付応力の大きさについて分析し,実験結果と解析結果の対応関係が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)FRP形材と鋼ガセットプレートとを用いた接合部に対する長期ボルト軸力モニタリング試験として60体を超える試験体を行うことができ,張力低下を定量的に評価するための実験結果が収集できたこと,(2)長期軸力を導入したFRP形材と鋼材ガセットを用いたハイブリッド構造の高力ボルト摩擦接合部の変化観察および曝露後三カ月における接合部引張載荷実験に関する試験を行うことができ,摩擦係数,耐力,破壊性状を明らかにできたこと,また,(3)接合部のパラメトリック数値解析モデルの構築を行い,ボルト張力の低下傾向と解析から得られる締付応力との対応関係が確認できたことから,おおむね順調に進展させることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
FRP形材と鋼ガセットプレートとを用いた接合部の長期ボルト軸力低下モニタリングについては,FRP材の板厚も変数とした実験を行うとともに,実験結果と解析結果の対応関係より,ボルト張力低下量を予測する手法を検討する。 FRP形材と鋼材ガセットを用いたハイブリッド構造高力ボルト摩擦接合部の長期接合部耐力の変化については,本年度得られたボルト張力低下を改善した締め付け方法を採用した接合部について,その耐力への影響を分析する。 有限要素解析では,FRP材特有の直交異方性と剪断強度を加味した材料非線形解析を行い,FRP/鋼ハイブリッドボルト接合部の破壊メカニズムについて分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に用いる歪ゲージ等の消耗品代として400千円程度(温度補正付2軸歪ゲージ・東京測器社製FCA5-11-3LT:1千円×150枚,温度補正付1軸歪ゲージ・東京測器社製FLA5-11-3LT:0.5千円×400枚,歪ゲージ用接着剤,ウエス 等),パラメトリック数値解析を行うためのコンピュータとして150千円程度,有限要素解析ソフトウエアライセンス料として150千円程度,また,研究成果公表のための論文投稿費,学会参加・発表旅費(日本建築学会大会,FRP CON-EX講演会 等)として300千円程度を使用する計画である。
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