平成24年度においては,粗骨材を架橋する長さを有するビニロン短繊維並びに,結合材であるセメントモルタルを補強するためのビニロン微細繊維を複合使用した場合の機械的性質について検討し,高曲げ強度を得るための短繊維及び微細繊維の混入率を見出した。又,微細繊維で補強したセメントモルタルにセメント混和用ポリマーを混入した繊維補強ポリマーセメントモルタルを結合材とすることにより,ハイブリッド型繊維補強ポーラスコンクリートの機械的性質が改善できることを明らかにした。 期間全体を通じて実施した研究の結果,(1)粗骨材最大寸法の2倍にあたる長さ40mmの短繊維を0.5%混入して粗骨材間を架橋すると共に,長さ12mmの微細繊維を0.15%混入した繊維補強セメントモルタルを結合材とすることによって,繊維補強ポーラスコンクリートの曲げ性状は著しく改善されること及び,(2)そのような繊維補強ポーラスコンクリートの結合材をポリマーセメントモルタルとした場合,ポリマーセメント比の増加に伴って,その曲げ性状の更なる改善が可能であることを明らかにしている。 以上のことから,本研究では,ポーラスコンクリートに対して,ビニロン短繊維及び微細繊維による複合補強並びに,セメント混和用ポリマーの混入による結合材の改質というハイブリッド型の補強・改質手段を適用することによって,「高曲げ強度を有するハイブリッド型繊維補強ポーラスコンクリート」の開発に成功した。又,本研究を通して,これまでに確立した,「複合則を適用した繊維補強ポーラスコンクリートの調合設計法」によってハイブリッド型繊維補強ポーラスコンクリートの製造が可能であることを確認した。従って,ポーラスコンクリートに高曲げ強度を付与するための調合要因の整理と調合設計法を確立することができた。このような成果は,ポーラスコンクリートの用途拡大に大いに寄与するものである。
|