今日,資源節約の観点より軽量なラチスシェルの設計法が必要とされる。ラチスシェルの形態最適化により軽量なラチスシェルを実現できると期待されるものの,形態最適化がラチスシェルの重量をどの程度低減させるのかについては分析が少ない。ラチスシェルは比較的細長い部材で構成されるため,部材曲げ応力度の発生を抑制することが軽量なラチスシェルを設計するために重要であると考えられる。 以上の背景に基づき,本研究ではまず,複数荷重を受けるラチスシェルを対象とする部材曲げ応力度最小化を目的とした形態最適化プログラムを作成した。そのプログラムを用い,ラチスシェルの形態最適化を実施した。なお,ラチスシェルの初期形状は部分円筒形とした。その後,形態最適化されたラチスシェルの部材曲げ応力度と初期形状のラチスシェルの部材曲げ応力度を比較したところ,前者の方が小さくなっていることを確認した。このことから,本研究で作成した形態最適化プログラムは妥当なものであったと考えられる。 次いで形態最適化されたラチスシェルと初期形状のラチスシェル双方について部材断面算定を行い,さらに双方の重量を計算した。その結果,形態最適化されたラチスシェルは形態最適化されていない初期形状のものより軽量であることを確認した。なお,部材断面算定のために用いた部材断面力が妥当なものであったことも併せて確認した一方で,設計用部材強度,とりわけ圧縮材の設計用強度の妥当性については確認していない。この点は今後の課題である。 最後に,静的弾塑性解析を実施し形態最適化されたラチスシェルの最大耐力を求めたところ,設計荷重よりもラチスシェルの最大耐力が大きいことを確認した。 以上の結果をまとめると,本研究により,部材曲げ応力度最小化を目的とした形態最適化が軽量かつ十分な耐力を有するラチスシェルを設計する手法として有用であることが示されたと言える。
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