鉄筋コンクリート造そで壁付柱部材にさらに腰壁と垂れ壁がつく場合の曲げ変形性能について実験的検討を行った。また、実験結果や計算結果との比較から剛域長さやヒンジ領域長さに関する検討を行った。試験体は鉄筋コンクリート造両側そで壁付柱およびそで壁および腰壁付き柱2体とし、正負交番繰り返し載荷を実施した。各試験体は1/2スケール縮小モデルであり、腰壁の有無および壁厚を設計パラメータとしている。各試験体は計算上ではいずれも終局曲げ耐力と終局せん断耐力はほぼ等しいが、そで壁脚部で曲げ破壊が生じており,変断面部材のせん断強度算定式がせん断耐力を安全側に評価していることを確認した。また,平面保持仮定に基づく終局曲げ強度式はいずれの試験体の最大耐力も精度良く評価した。壁厚の小さい試験体では腰壁がついた場合に最大耐力が小さくなり、部材全せいの約0.2倍程度の腰壁部分の可撓長さが認められた。壁厚の大きい試験体では腰壁の有無によらず概ね等しい最大耐力を示し,壁厚さにより腰壁つき柱部材の耐力剛域が変化しうることを示した。そで壁付柱部材における剛性低下率は修正菅野式を用いることで評価可能であった。腰壁がついた場合の降伏点剛性は実験結果が計算結果の80%程度であり、降伏点変形における腰壁部分の可撓長さは部材全せいの約0.2倍であることを明らかにした。本実験の可撓長さは既往の研究で提案されている腰壁部分の可撓長さよりも明らかに小さな値となった。限界変形角の検討において危険断面の曲げ断面解析結果と壁厚3倍相当のヒンジ領域を仮定して計算される塑性回転角は実験結果における終局限界変形を安全側に評価することを示した。
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