本研究では,地表面を透水・保水性能を有する材料で舗装することによる水分蒸発とそれに伴う冷却効果について,その効果の予測を可能とし,保水性舗装の熱的な性能設計手法を確立することを目的としており,夏季屋外空間の酷暑緩和,それに伴う建物の熱負荷低減することを目指している。本申請研究では,各種透水性舗装材料の熱および水分物性を測定・推定し,数値計算による蒸発冷却効果の予測を可能とすること,およびその性能評価を目的としている。 平成23~24年度には,透水・保水性舗装材料の熱水分物性の測定と数値計算によって各種舗装材料の熱的特性について検討し,それらの熱的性能評価を行ってきた。 最終年度(平成25年度)は,これまでに得られた結果を基にして,保水性舗装材料のポーラスコンクリートを建物屋根の防水仕上げ材に用いた場合の屋根貫流熱負荷の低減効果について,数値計算により検討した。その結果,防水仕上げ材をコンクリートからポーラスコンクリートへ変更することで夏期の屋根積算貫流熱負荷の低減効果は小さくが,排水ドレインに堰を設け,降雨をポーラスコンクリートの空隙内に貯水可能とした場合は,コンクリート仕上げに比べて期間積算貫流熱負荷を39.9 MJ/m2低減できることを示した。また,屋根への降雨を蓄え,その雨水を屋根に給水するシステムを想定した場合について検討し,雨水タンクの容量や排水ドレインに設置する堰の高さ等の蒸発冷却効果に与える影響を明らかにした。
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