研究課題/領域番号 |
23760551
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保田 徹 広島大学, 大学院国際協力研究科, 准教授 (80549741)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / インドネシア / マレーシア / LCA / 省エネルギー / エネルギー消費量 / 東南アジア / 途上国 |
研究概要 |
(1)2011年3月に,インドネシアのバンドンにおいてパイロット調査を実施した。市内の一般住宅11世帯を対象にLCAを試行し,データ整備の不十分な途上国においても適用可能なLCA手法を開発した。現地調査によって建物図面を自ら書き上げ,使用される建築材料を調査したところ,延べ床面積等によって住宅のライフサイクル・エネルギーやCO2排出量を比較的高い精度で推計できることが分かった。途上国の一般住宅の建物図面は未整備な場合が多いが,上記の結果は,そうした状況にあっても簡便に推計することを可能とするものであり非常に重要である。これらの結果は,日本建築学会中国支部研究発表会(2012年3月)において口頭発表し,同学会発行の日本建築学会技術報告集に投稿し,採用された。また,2012年5月に京都大学で開催予定の国際会議において発表予定である(論文は採用済)。(2)同年8月に,マレーシアのジョホールバルにおいて現地調査を実施し,LCAに必要となるデータの収集を行った。これに関連した住宅内のエネルギー消費量に関する調査結果を広島大学の紀要「国際協力研究誌」に投稿し,採用された。現在,得られたデータを基に,住宅のライフサイクルを通じたエネルギー消費量,CO2排出量を分析している。(3)同年9~10月に,バンドンにおいて一般住宅250世帯を対象とした大規模な調査を実施した。上記のパイロット調査と同様に,建物一棟一棟の図面を書き上げ,それぞれで使用される建物資材量を詳細に算出した。一方で,住宅内で使用される家電の使用台数や使用時間を調査し,世帯当たりのエネルギー消費量を算出した。以上を基に,住宅のライフサイクル・エネルギー消費量やCO2排出量に影響を与える要因を分析している。この結果は2012年11月にペルーで開催予定の国際会議(PLEA2012)において発表予定である(アブストラクトは採用済)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)ジョホールバルにおける2011年度の目標は,LCAに必要なデータの整備を完了することであったが,上述の現地調査によって概ね達成された。(2)バンドンにおける目標は,データの整備を行い,それを用いてLCAを試行することにあったが,上述のパイロット調査によって達成された。さらに,250世帯を対象とした大規模な調査を実施し,一層のデータの蓄積を行い,提案するLCA手法の向上を図っているので,この点で当初の計画以上の成果が得られたと考えている。(3)2011年度だけで,国内の査読付論文2編が採用され,2編の国際会議論文を提出し,さらに国内の学会でも発表しており,この点でも当初の計画以上の成果が得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ジャカルタにおいて,昨年度と同様の大規模調査を実施する予定である(9~10月)。また,ジョホールバルのケーススタディでは,収集したデータを精査しLCAを実施する。さらに,バンドンにおいて行ったような手法の簡易化を検討する予定である。(2)ジャカルタの結果をバンドン,ジョホールバルと比較することで,地域的特性を見出し,それを提案するLCA手法に反映させる。(3)上述のとおり,2012年の5月(京都)と11月(ペルー)において成果発表を行う予定だか,これ以外にも発表回数を増やし,研究成果の社会化を進める。また,大規模調査の結果は,Building and Environment等のトップジャーナルに投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)物品費(20万円)については,主に,バンドンで実施予定の大規模調査時の消耗品費として使用する。(2)旅費(50万円)については,主に,バンドンで実施予定の大規模調査時の渡航費及び滞在費として使用する。(3)人件費・謝金(10万円)については,主に,バンドンで実施予定の大規模調査時の調査補助者への謝金として使用する。(4)その他(10万円)については,主に,研究関連の図書費として使用する。
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