研究課題/領域番号 |
23760563
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
姥浦 道生 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20378269)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ドイツ / ミティゲーション / 自然環境保全 |
研究概要 |
本年度はドイツにおけるミティゲーションの制度に関する調査・分析を中心に、一部自治体レベルの運用実態の調査まで含めて、文献調査及びヒアリング調査を中心に行った。明らかにした概要は以下のとおりである。ドイツにおけるミティゲーション制度は、開発に際して自然環境への侵害行為に対する代償措置を行うものとして、開発のための策定される地区計画(BPlan)を契機として適用されている。基本的にほとんどすべての開発がその対象となる点が特徴的であり、一部の貴重な自然環境への侵害を対象としているわけではない。評価の方法は、希少種・土地・水・気候等への影響をポイント化して行う。これには長い歴史の結果として定着しているものであり、現在ではこの定量化手法に対して異議はほとんど出されていない。開発地でその代償をすべて行うことができない場合には、開発地外で、場合によっては開発者以外が主体となって行うことになる。その場合、開発者は受託者に対してポイントに応じた金銭を支払うことになる。ポイントあたりの価格は市場経済に委ねられている。デュッセルドルフ市においては、市有地は市の開発の際のミティゲーション用地としてリザーブされているため、通常の開発の代償措置は民間同士の契約で行われ、それを市当局が承諾する、という形で行われる。その場合、その旨(通常30年間の維持管理義務負担)が土地台帳に記載され、第三者効を有する。農家または林業家が受託者となる場合が多く、その意味ではこのミティゲーション制度は農林業支援策という側面を有しているともいえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の最大の目的はドイツにおけるミティゲーション制度の概要について調査・分析を行うことだったが、それについては概ね達成されているため。また、一部自治体レベルの運用実態の調査まで踏み込んでおり、その結果本年度行うべき調査の内容が明確になっている。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツにおける自治体レベルの運用実態を調査することで、このミティゲーション制度がどのような効果を持っているのかを明らかにしていく。その際には、一つの先進的モデルとしてのアメリカの制度、日本の試行的取組みについても調査・比較・分析を行い、その位置づけを明確にするとともに、我が国のミティゲーション制度の確立のための示唆を得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していたアメリカにおける運用実態調査を、次年度のドイツにおける自治体レベルの運用実態事例調査と一体的に行うよう変更したことにより生じたものであり、その次年度に実施する調査のための旅費として、平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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