本研究は、近代都市計画と観光施策に基づく都市形成が急速に進んだ大正・昭和初期において、「観光」を都市戦略として掲げ、景勝地開発に取り組んだ都市を対象として、観光地形成の成立過程とそのメカニズム、都市基盤整備の具体的内容を明らかにした。具体的には、神戸背山の山地開発と風致保護の顛末、奈良・山辺の道における道の形成と観光形態の成立、堺大濱における海浜リゾート開発とその経緯について明らかにした。これにより、戦前の観光地形成における、鉄道や道路などのインフラ整備の影響、観光施策上の公園緑地の戦略的拠点性、その整備における行政や民間の各主体が果たした役割を明らかにした。
|