研究課題/領域番号 |
23760575
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 理恵 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599104)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 建築計画 / 景観・環境計画 / 国際情報交流 / 中国 / 内モンゴル |
研究概要 |
本研究は、都市・資源開発等が急速に進む中国辺境地域である内モンゴル自治区を対象に、消滅の危機にあるゲルを含むモンゴル族牧畜民の独自の文化及び生業、自然環境などを一体の生活領域と捉え、保全計画を策定することを目的としている。計画策定に際しては「文化的景観」保全の視点を取り入れ、モンゴル族の生活領域の動態を把握し、価値評価を行う。本年度は、評価をおこなうための基礎的情報収集を行った。1. 内モンゴルでの現地調査:保全計画策定の基礎資料となる現地調査として、シリンゴル盟西ウジュムチン旗付近を対象に3つの時間軸に基づく視点での調査を実施した。【視点1】モンゴル族牧畜民の伝統的な自然観と生活領域(放牧地使用権分配以前):牧畜民への聞き取りによって遊牧時代の移動パターンと移動の動機や移動場所の決定要因を分析。イメージマップの作成によって、遊牧時代の宿営地集団と宿営地の空間構造を明らかにした。【視点2】政策的な放牧地分配方法の分類とその規定要因(放牧地使用権分配時):ソム・鎮もしくはガチャ単位の行政及び村民委員会へ放牧地使用権の分配方法詳細とその決定要因について聞き取り調査を実施した。【視点3】現在の宿営地及び宿営地集団(集落)の空間構造と土地利用上の問題点を明らかにすため、牧畜民の住居や土地利用について実測およびヒアリング調査を実施した。2. その他地域での動向把握:具体的には、中国河南省における大規模な農村集落再編の事例を調査した。伝統的農村集落の景観や住宅様式が、「新農村建設」政策によってどのように変化しつつあるのか、新村の計画内容の把握および旧村の住まい方調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに連携のとれている地域での調査を行ったため、現地コーディネーターとの調整もスムーズであった。調査日程が計画よりも少なくなったため、補足調査が必要になる可能性はある。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に引き続き、(1)内モンゴルでの現地調査及び(2)その他地域での動向把握を実施する。具体的な対象地域としては、シリンゴル盟東ウジュムチン旗付近、及び早くから牧畜集落の形成がみられるフベートシャル旗を想定している。平成23年度の調査結果に関して、「文化的景観」としての価値評価と土地利用上の問題点分析を行う。〈価値評価・土地利用〉・ガチャ及び宿営地、各住居レベルでの大小レイヤーマップ(及び図面)を作成し、3つの時間軸に基づく視点よりモンゴル族の生活領域の動態を可視化する。・各調査地の放牧地使用権の分配方法や要因等を類型化し、放牧地や放牧形態と住居の所有・利用状況及び空間構成の関連性を分析する。・宗教行事や家族関係、経済活動等が景観形成に及ぼす影響を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
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