研究課題/領域番号 |
23760575
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 理恵 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599104)
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キーワード | 建築計画 / 景観・環境計画 / 国際情報交流 / 中国 / 内モンゴル |
研究概要 |
本研究は、都市・資源開発等が急速に進む中国辺境地域であるウチモンゴル自治区を対象に、消滅の危機にあるゲルを含むモンゴル族牧畜民の独自の文化及び生業、自然環境などを一体の生活領域として捉え、保全計画を策定することを目的としている。計画策定に際しては、「文化的景観」保全の視点を取り入れ、モンゴル族の生活領域の動態を把握し、価値評価を行う。本年度は、評価をおこなうための基礎的情報収集および、対外発表を通じて分析の方向性を検討した。 1.現地調査:保全計画策定の基礎資料となる現地調査を、シリンゴル盟東ウジュムチン旗、シリンホト市において実施した。調査内容は次の3つの視点である。【視点1】モンゴル族牧畜民の伝統的な自然観と生活領域:牧畜民への聞き取りによって遊牧時代の移動パターンと移動の動機や移動場所の決定要因を分析。イメージマップの作成によって、遊牧時代の宿営地集団と宿営地の空間構造を明らかにした。【視点2】政策的な放牧地分配方法の分類とその規定要因:ソムもしくはガチャ単位の行政および村民委員会への放牧地使用権の分配方法詳細とその決定要因について聞き取り調査を実施した。【視点3】現在の宿営地および集落の空間構造と土地利用上の問題点を明らかにするため、牧畜民の住居や土地利用に関する聞き取り調査を実施した。 2.対外発表による分析視点の検討:イギリスおよびオーストラリアで開催された国際会議において調査内容を発表し、分析視点を検討した。特に、イギリスにおける国際会議は、建築のみならず学際的な視点でのディスカッションを経ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年秋に発生した対日デモ等の影響により、現地協力研究者との打ち合わせなどが十分に確保出来ず、補足調査および打ち合わせの機会を設ける必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度および24年度の現地調査を精査し、補足調査を実施する。特に、宗教行事や家族関係、経済活動等が景観形成に及ぼす影響について強化する。また、調査結果に関して、「文化的景観」としての価値評価と土地利用上の問題点分析を行う。さらに、現地協力者との検討会議を設け、保全計画策定の骨子案を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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