本研究は東アジア都市における屋外商業密集地区に焦点を当て、そこの在り方を模索している。東アジア都市の都心地区には、商店街やデパートが立地するなど、人々を集めて賑やかにする雰囲気がある。人々はそこに都市の魅力を感じ取り、都市を楽しみ理解していくのである。 そこで、本研究は郊外の大型ショッピングモールにおされ、伝統的な商業空間は客足が伸び悩んでいることに着目し、都心の伝統的な商業空間を復活させ再開発の役に立つ調査と再評価を目指す。特に、東アジアの都市環境において、屋台、露店などの路上販売、店が雑然としている屋外商業密集地区に研究の焦点をあてる。そこの空間的な側面と行動的な側面に注目し、各国の屋外商業密集地区を調査し分析することによって、これをもとに屋外商業密集地区を再評価し整理し、魅力ある都市構造を誘導することができることを目的として進めることとした。 平成23年度から平成25年度まで、本研究では、国内、韓国、台湾及びネパール合計10都市の東アジアの都市を対象に現地調査を実施した。それぞれの都市における仮設的な空間の構成要素で形成される「仮設空間」の場の立地条件や空間構成要素の特性、仮設的要素の立地と固定的店舗などの施設との関係を調査、考察し、その情報を整理した。また、今まで東アジアの都心商業区の研究内容を、国内学会、国際会議などに発表した。 生態学的心理学の行動セッティング論が都市計画、都市デザイン、建築学などに適用される一つの基本的なユニットを成す概念であることがわかった。都市中心部に人々が集まる/集まっているという現象について、一つのまとまりを成す大きなユニットとして行動セッティングという分析単位を考えることで、都市に人々が集まる現象を見る視点ができる。
|