研究課題/領域番号 |
23760585
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
小地沢 将之 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50550852)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地域マネジメント / まちづくり協議会 / まちづくり基本条例 / 中心市街地 / 防火地域 / 復興 / 市民参加 |
研究概要 |
本研究は、住民自治の一翼を担う地域コミュニティにおいて住民主体の管理行為が十分に機能していない現状について、資産の所有・管理・利用の不整合が一因である可能性に着目し、地域住民の当事者意識が発揮されやすい所有・管理・利用のあり方を明らかにすることを目的に実施している。 初年度にあたる平成23年度は、地域コミュニティにおける資産の所有等に対しての基本的な姿勢を明らかにするために、1.山形県酒田市における資産所有の実態調査、2.山形県遊佐町のまちづくりセンターの管理や利用の実態調査、3.その他の地区における同様の調査実施に向けた事前ヒアリング、4.震災復興期におけるまちづくり会社等の運営方法の検討、5.地域住民の地域活動への参加活発度と意識の関係に関する調査、6.地域メディアを用いた当事者意識の発現の可能性を探る調査を実施した。 1.は酒田大火の復興から30年余りが経過し、世代交代が進んだ地区における資産所有の実態を明らかにする視点において重要な調査である。2.は町内6地区のまちづくり協議会が公共施設を管理している事例であり、これらの管理や利用の実態を明らかにするものである。また、他地区においても同様の調査を実施するために、3.としてヒアリングを実施している。1.~3.は当初の計画通り、平成24年度も継続して実施する。 4.では震災被災地における不動産の共有化を実現するための課題について分析し、すでに日本建築学会大会で発表を行った。5.は住民総出による地域マネジメントの実現に向け、参加活発度と意識の関係を明らかにするためのアンケート調査を行ったものである。6.は地域マネジメントへの当事者意識を喚起する観点から、地域メディアが果たす役割について95媒体の分析を行ったものである。5.6.の成果はそれぞれ、日本建築学会と日本デザイン学会で平成24年度中の口頭発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.については、すでに取得していた不動産登記情報の分析作業がやや遅れたが、当初計画していた登記情報の追加取得の必要性が少なくなったことから、全体のペースとしては当初の計画通りである。 2.については、遊佐町役場および各地区のまちづくり協議会の全面的な協力を得られたことにより、有用なデータの取得が済んでいる。今後分析を行うとともに、追加調査を実施し、公共財の管理や利用の実態を明らかにする。 3.については、日本都市計画学会や岩手県北上市などが運営する「きたかみ震災復興ステーション」との連携により、有意義なヒアリングを実施できている。平成24年度中に調査に着手し、分析を行う予定である。 4.については、すでに学会における口頭発表を終えた。 5.6.については、一定の調査分析を終え、学会における口頭発表を控えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は初年度に引き続き、各地域コミュニティにおける資産所有・管理・利用の現況調査、および地域コミュニティ以外による補完的な資産管理の実態調査を遂行する。これらを経て、各地域ごとに特色が異なる資産所有・管理・利用の実態を一様に汲み上げるための調査項目が整理された段階で、所有・管理・利用の関係の実態を明らかにしながら、資産所有・管理・利用パターンのモデル化を行う。また、地域コミュニティにおける規範が当事者意識に及ぼす影響を明らかにする。 具体的には、前掲の1.~3.の調査を継続し、分析を行うことが主となる。いずれも調査を実施する上での基礎的な準備を平成23年度中に進めており、また対象地区との協力関係が構築されているため、研究を遂行する上での大きな課題は見当たらない。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は60万円余りの「次年度使用額」が生じた。これは前述の通り、当初計画していた登記情報の追加取得の必要性が少なくなったことが一因である。また研究代表者は研究着手後まもなく、平成24年4月1日付の研究機関の異動が決定したが、異動後の研究環境が不明な状況が続いたため、当初計画していたPCなどの購入を一時見送ったことも「次年度使用額」の発生の要因となった。 平成24年度においては、当初の交付予定額の規模で1.~3.の調査や分析を進める。また前述の通り、研究を遂行するための環境を再整備する必要が生じたため、「次年度使用額」を充てることにより前年度に見送っていたPCなどの購入を行う。さらには当初の計画に比べ、学会発表等の機会が増える見込みであるため、「次年度使用額」はこの費用にも充てる。
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