本研究は、住民自治の一翼を担う地域コミュニティにおいて住民主体の管理行為が十分に機能していない現状について、資産の所有・管理・利用の不整合が一因である可能性に着目し、地域住民の当事者意識が発揮されやすい所有・管理・利用のあり方を明らかにすることを目的に実施している。 最終年度にあたる平成25年度は、これまでに引き続き、地域コミュニティにおける資産の所有等に対しての基本的な姿勢を明らかにするために、1.公共財の管理や利用の実態調査、2.東日本大震災被災地におけるコミュニティ形成における意識調査を行った。また、地域住民の当事者意識が発揮されやすい環境整備の実現に向け、3.まちづくり協議会による地域マネジメントに対する住民の意識調査、4.共同管理空間や公共財に対する地域担当職員の把握状況の実態調査を実施した。 1.は、山形県遊佐町のまちづくりセンターの管理や利用について昨年度に引き続き調査を行った。また、仙台市の都市計画道路の廃止決定に伴う資産所有への影響を明らかにするために、決定に際しての評価手法の妥当性について分析を行った。2.は、東日本大震災の被災地のうち、早期に災害公営住宅が整備された福島県相馬市の事例、および被災者自らが住宅の早期再建を進めている宮城県亘理町の事例を取り上げ、コミュニティ形成に際しての意識調査を行った。 3.では、まちづくり協議会が地域の将来像についての計画策定スキームについて参与観察を行い、また住民の共有財である地域資源や公共施設の活用の期待感については調査紙を用いて意識調査を行った。4.では、地域担当職員制度を持つ山形県遊佐町において担当職員を対象に、公共財の管理への目配りの実態について調査を行い、分析を行った。 以上は、学会において発表を行ったもの、論文誌に査読付き論文として掲載されたもの、今夏の学会で発表を予定しているものがある。
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