本研究は、日本における住宅アフォーダビリティ問題の実証的な把握と、低所得世帯に関する国内外の家賃補助政策論の分析を目的としている。研究結果は以下の3点に集約される。(1)日本の大都市において近年急速に、低質・低家賃住宅が減少しており、若者や高齢者の世帯では居住費負担が増加している。(2)国内の住宅政策の議論の動向として空き家の上昇を背景に家賃補助などの民間賃貸住宅を活用した政策に注目が集まっているが、実質的な家賃補助の導入には至っていない。(3)欧米では住宅アフォーダビリティ問題が住宅問題の主流になっており、特に米国では家賃補助政策と労働・福祉・交通政策を複合した政策研究がさかんになっている。
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