サービス付き高齢者向け住宅とは、住まいとケアが分離した高齢者向けの賃貸住宅である。住戸内の管理は居住者本人に委ねられ、生活コントロールも入居者本人により決められる。ソフト面のサービスは、安否確認・生活相談が義務化されているのみであり、介護保険サービスの附帯義務はない。介護が必要となれば、在宅サービスを自ら選択し利用する事になる。このようにサービス付き高齢者向け住宅では住まいとケアが分離しており、介護の必要性に関わらず入居者自身が生活を主体的に制御していく「生活の自立」が前提となっている。しかしながらサービス付き高齢者向け住宅の多くは住まいとケアが一体化しており、入居者の生活も受動的なことが多い。 そこで本年度は、一事例ではあるものの生活の自立という観点からサービス付き高齢者向け住宅の生活展開や住まい方について実証し、住まいとケアの分離の重要性について明らかにすることを目的とし、調査研究を行った。 調査対象施設は、福岡県にある12戸のサービス付き高齢者向け住宅である。調査機関は2014年7月から2014年12月まである。調査対象者は対象住宅のる全入居者(13名)である。調査方法は、1週間の入居者、職員に対する行動観察調査、ヒアリング調査、住まい方調査である。 以下に結果を述べる。①介護保険サービスについては従前のサービスの継続、および主体的な選択がなされていた。②日常生活行為については、介護保険サービスやサービス付き高齢者向け住宅に附帯している食事サービスを利用している人が大半であったが、各行為ともに複数の選択肢があった。③1日の生活パターンを11に分類する事ができた。1週間の生活展開は、敷地外の通所介護と住棟内の食堂を使い社会的関係性を構築している人が多くみられた。また、常時見守りが必要な認知症高齢者は併設の小規模多機能型居宅介護を利用しながら在宅での生活を維持していた。
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