本研究では、河川空間およびそこで運行する舟運を対象に、都市の骨格である河川を軸とした都市デザインのあり方を「感性価値」の観点から探求した。その成果は以下3点にまとめられる。 (1)「感性価値」の評価方法の作成:河川空間および舟運の実体験型の心理評価(SD法・多変量解析)と実測による物理量データ(連続断面図、緑視率、水面距離)の関係性を分析することで、人間の五感に刺激を与える空間構成要素の抽出と、空間構成類型別の特徴を整理した。(調査対象河川空間:信濃川下流域、阿賀野川中流域、清渓川) (2)河川空間のデザインコード:河川敷地オープンカフェを対象とした、アンケートおよび聞き取り調査による心理評価と実測による物理量データ(河川敷地断面形状、水面距離、景観構成要素、集視率)の関係性を分析することで、滞留型河川空間における感性を刺激する空間デザインの特性を次の3つの観点から整理した。①河川敷地断面形状と水面距離の関係性②滞留空間の視認性および集視率③河川空間後背地の景観構成要素(調査対象河川空間:元安川下流域、京橋川下流域) (3)河川と連携する都市デザイン:河川・舟運と市街地が良好な連携構造を築く河川空間を対象に、地図やwebによって収集したデータと現地調査によって収集した物理量データを基に後背地との関係を類型化し、河川と都市空間との連携モデルを検討した。(新町川下流域、信濃川下流域、清渓川)
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