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2012 年度 実績報告書

sp電子系準結晶合金の探索による新しい金属-絶縁体転移の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23760619
研究機関北海道大学

研究代表者

柏本 史郎  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60329852)

キーワード準結晶 / 近似結晶 / sp電子系 / 電気抵抗 / 金属ー絶縁体転移 / 価数揺動 / 重い電子系
研究概要

内容:今年度は1)試料作製、2)物性測定を中心に行った。1)その後、前年度に扱ったAg基合金系では準結晶の単相試料を得られなかったため、今年度新たにPd-Si基およびPd-Ge基合金中の準結晶探索を行い、準結晶関連物質である近似結晶の形成を確認した。この中で近似結晶の単相度が高い試料をPd48Ge36Yb16で得ることに成功した。不純物相の相同定もできておりGePd相のみがわずかに点在する数mmの試料が得られた。2)電気抵抗率は室温で~200μΩcmと低く、期待された金属-絶縁体転移に適した物質ではなかったが、磁化測定ではCurie-Weiss常磁性を示すことが分かり、Ybの平均電子価数として~2.7価が得られた。測定した複数の試料で同様の結果が得られ、この近似結晶相中のYbが常圧で2価と3価の価数揺動を生じていることが確認された。
意義:近似結晶が同型構造と考えられるAu-Al-Ybは常圧でYbの価数揺動が初めて報告された準結晶・近似結晶であり、これまでの準結晶研究では行われていなかった「重い電子系」物質としての量子臨界現象に関心が集まっている。Pd-Ge-Yb近似結晶が同様に価数揺動を示すという結果から、準結晶・近似結晶の電子物性が現代物理学のトピックスの一つである「強相関電子系」の舞台に上がったことを意味する。
重要性:これまで準結晶研究の中心はその特異な非周期構造にあり、一方物性に関しては準周期固有な性質は特にない状況であった。しかしながら最近見つかったAu-Al-Ybでは極低温において量子臨界状態に達するという可能性が準結晶のみに見いだされており、これは準周期性に基づく新しい物性として期待される。今回発見したPd-Ge-Yb近似結晶は同様にYbが常圧で価数揺動を示す準結晶関連物質として2例目であり、準周期構造における「重い電子系」の研究対象を広げる重要な結果と言える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Intermediate-valence icosahedral Au-Al-Yb quasicrystal2012

    • 著者名/発表者名
      Tetsu Watanuki、Shiro Kashimoto、Daichi Kawana、Teruo Yamazaki、Akihiko Machida、Yukinori Tanaka、Taku J.Sato
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: Vol.86 ページ: 094201-1-6

    • DOI

      DOI:10.1103/PhysRevB.86.094201

    • 査読あり
  • [学会発表] 準結晶中の磁気秩序とスローダイナミックス

    • 著者名/発表者名
      柏本 史郎
    • 学会等名
      分子研研究会「レーザー分光および磁気測定による分子構造探求の新展開」
    • 発表場所
      分子科学研究所(愛知県)
  • [学会発表] Yb-Pd-Ge合金系における1/1近似結晶の形成

    • 著者名/発表者名
      小山 菜見、柏本 史郎
    • 学会等名
      第17回準結晶研究会
    • 発表場所
      近畿大学(大阪府)
  • [学会発表] Pd-Ge-(rare earth element)合金系近似結晶の磁気特性

    • 著者名/発表者名
      柏本 史郎、小山 菜見
    • 学会等名
      第17回準結晶研究会
    • 発表場所
      近畿大学(大阪府)
  • [学会発表] Pd-Ge-(希土類元素)系近似結晶の電気伝導特性と磁性

    • 著者名/発表者名
      柏本 史郎、小山 菜見
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学(広島県)

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公開日: 2014-07-24  

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