前年度、FeNi合金微粒子を作製するための方法を見出すことに成功した。具体的には、多価アルコールであるポリオールを溶媒とした液相法によりFeおよびNiを含む前駆体微粒子を作製し、それに還元雰囲気下で熱処理を施すことによりFeNi合金微粒子を得た。本年度は、組成制御したFeNi合金微粒子の作製を試みた。その結果、前駆体微粒子の組成は投入金属塩比、反応温度および反応時間などに依存することが明らかになった。また、それらの条件を調整することにより、前駆体微粒子の組成を10~90 at%の範囲で制御出来ることを突き止めた。さらに、組成制御した前駆体微粒子に還元熱処理を施して作製したFeNi合金微粒子の格子定数および飽和磁化を調べた結果、バルクのFeNi合金と対応した組成依存性が観測された。すなわち、組成を制御してFeNi合金微粒子を作製することに成功した。 前駆体微粒子およびそれに還元熱処理を施した試料において、Fe K吸収端およびNi K吸収端のX線吸収分光測定を行った。XANES(X-ray absorption near edge structure)スペクトルおよびEXAFS(extended X-ray absorption fine structure)スペクトルを解析することにより、前駆体微粒子においてFeおよびNiは酸化した状態にあり、類似した局所構造を有していることを示した。また、前駆体微粒子に還元熱処理を施すことによりFeおよびNiは金属状態になり、それらはfcc構造の局所構造を有していることを示した。前駆体微粒子において、FeとNiは還元されると直ちに合金化することが明らかになった。
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