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2013 年度 実績報告書

プロトン伝導性酸化物における界面イオン伝導機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23760629
研究機関一般財団法人ファインセラミックスセンター

研究代表者

桑原 彰秀  一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (30378799)

キーワード固体電解質 / プロトン伝導体 / 第一原理計算 / 点欠陥 / ペロブスカイト構造
研究概要

プロトン伝導性固体酸化物燃料電池の実用化を実現させるためには固体電解質におけるプロトン伝導率を向上させる必要がある。プロトン伝導性は電解質である酸化物へのアクセプター元素の添加と酸化物イオン空孔の形成、酸化物イオン空孔と水蒸気の水和反応によるプロトン溶解という複雑な欠陥反応を介して発現する。本研究では代表的なプロトン伝導体であるBaZrO3を対象として第一原理計算による点欠陥形成エネルギーの評価と熱力学に基づく熱平衡欠陥濃度の導出を行った。過去の研究では、主に単独欠陥についての議論がなされてきたが、特に本研究では全ての欠陥種を計算対象とし、陽イオン欠陥による不定比性や欠陥対についても考慮した。当初の計画では単欠陥とその界面近傍での形成挙動を解析する予定であったが、会合対の形成はプロトン伝導性BaZrO3において主要な反応であることが明らかになったため、解析の中心を会合対の網羅的な計算に変更した。点欠陥形成エネルギーの計算を実施した結果、溶解した伝導キャリアであるプロトンの大部分がアクセプター元素に捕獲され会合対を形成することが確認された。またBaZrO3のような複酸化物の場合、陽イオンの不定比性がプロトンの溶解量を大きく変えることも明らかになった。特にBa欠損条件下ではYのような添加元素はBaサイトとZrサイトの両方を占有することで自己電荷補償を起こしてしまい、プロトン溶解量が大きく低減されることを定量的に明らかにした。代表的なBaZrO3へのアクセプター添加元素であるYとScについて会合エネルギーの計算と熱平衡濃度を算出した結果、Scの方がYよりも会合対形成エネルギーが大きく、多量のプロトンを捕獲してしまうことが定量的に示された。BaZrO3ではY添加系の方がSc添加系よりもプロトン伝導率が高い。その要因は会合対形成エネルギーの差で説明が可能である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] First-Principles Study of Point Defect Formation in AgNbO32013

    • 著者名/発表者名
      H. Moriwake, C. A. J. Fisher, A. Kuwabara, D. S. Fu
    • 雑誌名

      JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS

      巻: 52 ページ: 09KF08 1-5

    • DOI

      10.7567/JJAP.52.09KF08

    • 査読あり
  • [学会発表] 第一原理計算によるプロトン伝導性BaZrO3における欠陥会合状態の解析2013

    • 著者名/発表者名
      桑原彰秀、豊浦和明、小山幸典、クレイグ・フィッシャー、松永克志、森分博紀、田中功
    • 学会等名
      第39回固体イオニクス討論会
    • 発表場所
      くまもと県民交流館パレア
    • 年月日
      20131120-20131122
  • [学会発表] First Principles Calculations of defect chemistry of doped BaZrO3 systems2013

    • 著者名/発表者名
      Akihide Kuwabara, Kazuaki Toyoura, Yukinori Koyama, Craig A. J. Fisher, Fumiyasu Oba, Katsuyuki Matsunaga, Hiroki Moriwake, Isao Tanaka
    • 学会等名
      MS&T 2013
    • 発表場所
      Palais des congrès de Montréal
    • 年月日
      20131027-20131031

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公開日: 2015-05-28  

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