研究概要 |
前年度から継続して、PMN-PT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3)の単結晶が示す非常に高い圧電特性のメカニズムを解明するために透過型電子顕微鏡法(TEM: Transmission Electron Microscopy)による解析を行ってきた. 本年度は特に,電子回折実験から単一ナノドメインレベルでの結晶構造を解明したことが特筆すべき成果である.測定条件の詳細な検討により,0.1~0.3%程度の格子面間隔の違いおよび0.1度程度の格子面の回転に由来する微小な回折点の分裂を測定することに成功した.この成果は学術論文として投稿し受理されて公表された(Sato et al., Appl. Phys. Lett., 2014). 本年度は研究計画の最終年度であることから研究成果の公表にも大きく力を注いだ.前段落の論文発表に加えて,これまでの一連の成果をまとめたレビュー論文および解説論文を各雑誌に発表した(Sato et al., J. Ceram. Soc. Jpn., 2013,佐藤ら,セラミックス,2013).他にも国際・国内学会等での招待講演を計3件行った(11.研究発表の項参照)ことに加えて,研究成果を一般に広く公表する取り組みの一環として簡単な解説と主要データの一部を日本語および英語のホームページ(平成26年3月までhttp://interface.t.u-tokyo.ac.jp/japanese/member/y_sato/index.html,平成26年4月にhttp://zaiko13.zaiko.kyushu-u.ac.jp/sato.htmlに移行)にて世界に公開している. また,本計画から派生した研究について成果も得られ始めており,PMN-PTと同じペロブスカイト型の結晶構造を有する代表的な酸化物であるチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)で,粒界で起こる局所原子配列・化学組成の劇的な変化を可視化することに成功した(Takeraha, Sato et al., J. Mater. Sci., 2013,Yang, Kotula, Sato et al., Mater. Res. Lett., 2013)などを研究が進んでいる.
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