①高性能繊維を用いた三次元中空編物技術の開発(23年度):炭素繊維などを用いた三次元中空編物を作製することを目的とし、たて編物機械の改良を行った。また、実際に様々な編み地を作製し、それぞれの繊維強度低下について調査を行った。表面処理、編み方、ガイドの種類、繊度、の組み合わせを変えた場合のそれぞれで、編むことが可能か、繊維の損傷がどれくらいになるか、の知見を得ることができた。以上の検討により、損傷しやすい繊維材料の製編に関して、表面処理技術と製編技術の両方の観点より、製編の可能性が見いだせた。 ②三次元プリフォームへの難燃性樹脂の発泡含浸技術の開発(23年度、24年度):三次元中空編物を強化形態とした断熱構造部材を作製することを目的とし、ガラス繊維でできた基材を用いて中空部分に発泡樹脂を含浸し成形する技術の確立を目指した。基剤量に対する樹脂量および発泡剤の量を調整したところ、樹脂が基材に十分に含浸されており、かつ3次元中空編物の中空部分に発泡した樹脂が隙間なく充填された三次元中空編物複合材料の作製が可能となった。 ③断熱構造部材の製作および評価(平成24年度(最終年度)):ロケット用ノズルライナーの燃焼特性について検討するために、強化形態には炭素繊維で作製した3次元強化基材、母材樹脂にはフェノール樹脂を用い、母材樹脂を低密度化させるため、樹脂にエチレングリコール、発泡剤を混合し、成形を行った。表面後退性、残炭率の向上を目的として、カーボンブラックの添加も行った。すべての試験片の密度は1.0~1.1g/cm3付近となり、従来(1.3~1.4g/cm3)と比較して十分に軽量な複合材料の作製が可能であることが明らかとなった。エロージョン試験を実施したところ、カーボンブラックを添加した試験片において、エロージョン量が少なく、断熱構造部材として優れた特性を有することが確認できた。
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