研究課題
本研究課題では、実験科学と計算科学から、マグネシウムの粒界強化・脆化機構について解明することを目的としている。本年度は、下記の知見が得られた。(1) 前年度に創製した微細結晶粒マグネシウム合金の破壊靭性値と破壊形態について調査した。Mg-Znおよび-Al合金は、純マグネシウムと比較して優れた破壊靭性値を示し、その破壊形態は、延性破壊であった。一方、Mg-Y合金では、粒界破壊が起こり、破壊靭性値は本研究使用合金の中で最も低かった。(2) 分子動力学を用いた研究では、マグネシウム合金の表面エネルギーについて検証した。表面エネルギーは、粒界エネルギー(昨年度に実施)と同様に、溶質元素に影響を受けることを確認した。(3) 破壊靭性値と破壊形態は、偏析エネルギーと密接な関係があることを明らかにした。偏析エネルギー(表面偏析エネルギーと粒界偏析エネルギーの差)の小さな元素を添加した合金は、高い破壊靭性値を示し、延性破壊を呈した。以上のことから、マグネシウムの粒界脆化・強化に影響を及ぼす材料因子は、「c/a比の濃度変化率」であることを明らかにし、c/a比の濃度依存性の小さい元素は、粒界強化(靭性向上)に有効であり、濃度依存性の大きな元素は、粒界脆化(靭性低下)に作用することが分かった。
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Scripta Materialia
巻: 68 ページ: 416-419
doi.org/10.1016/j.scriptamat.2012.11.010.
Computational Materials Science
巻: in press ページ: in press
doi.org/10.1016/j.commatsci.2013.04.043
http://samurai.nims.go.jp/SOMEKAWA_Hidetoshi-j.html