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2011 年度 実施状況報告書

フェロアロイを用いたV系水素貯蔵材料の創製と貯蔵水素の挙動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23760677
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

浅野 耕太  独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究員 (30415640)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード水素貯蔵材料 / 核磁気共鳴法 / 原子の拡散 / フェロアロイ
研究概要

はじめに酸素濃度が110~12200 mass ppmのV金属と3規格のフェロバナジウムを準備して、それぞれの不純物濃度あるいは水素吸蔵放出性を明らかにした。室温付近において、V金属は低水素吸蔵量側から1水素化物および2水素化物を生成する。1水素化物の安定性は2水素化物に比べて極めて高く、大気圧から数MPaの水素圧力範囲では、1水素化物-2水素化物間の相変態によりVは水素を吸蔵あるいは放出する。本研究開始前にV中の酸素濃度が増加すると水素吸蔵量は減少すると予想していたが、約3000~4000 mass ppm以上の酸素濃度になると、少なくても10 MPa以下の水素圧力では2水素化物の生成はほぼ見られなくなり、水素吸蔵量が大幅に減少することが分かった。また、酸素濃度が異なる3種類のVについて、1水素化物試料を作製して固体核磁気共鳴実験を行った結果、水素の拡散の活性化エネルギーは酸素濃度の上昇によって増加することが明らかになった。これらの結果は、V中の酸素濃度がある量以上になると、水素吸蔵量が大幅に減少し、かつ、水素の拡散が遅くなることを示している。一方、3規格のフェロバナジウムには鉄および酸素以外の不純物元素として、アルミニウムあるいはシリコンも含まれていることが元素分析によって明らかになった。3規格のうち最もV量が多い組成のフェロバナジウムでも、室温および10 MPaの水素圧力下において2水素化物の生成は確認されなかった。固体核磁気共鳴実験により、1水素化物中の水素の拡散の活性化エネルギーを見積もった結果、酸素濃度110 mass ppmのVの1水素化物中のものに比べて値は大きいことが分かった。しかし、フェロバナジウムがVに比べて水素吸蔵量が少ないことおよび水素化物中の水素の拡散が遅いことに関する詳細なメカニズムについては未解明であり、研究を継続して明らかにする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画における平成23年度の計画に沿って、酸素濃度が異なるV金属およびフェロバナジウムについての水素吸蔵放出性評価および固体核磁気共鳴実験等を進めることができたため。

今後の研究の推進方策

平成23年度は請求額に対して実支出額が少なかったが、これは主に固体核磁気共鳴装置が東日本大震災後に故障した期間があったことと夏期の節電対策により装置を停止せざるをえなかったことによる。11にて述べたように研究の推進状況は、当該装置を運転できた期間に集中的に測定を行ったため支障はほぼ生じていない。同実験に関する消耗品等は平成24年度に改めて不足分を購入する予定である。

次年度の研究費の使用計画

上述の今後の推進方策の通り、平成23年度は固体核磁気共鳴実験に関する消耗品費の支出が当初予定に比べて少額であったが、平成24年度に不足分を充てるため、研究計画および研究費の使用予定には実質的な変更は無い。

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公開日: 2013-07-10  

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