研究課題/領域番号 |
23760683
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笘居 高明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80583351)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 超臨界流体 / プラズマ / 材料合成 |
研究概要 |
本年度は、窓・電極付き超臨界流体反応容器の設計・導入した。また、導電性超臨界流体の検討を行い、超臨界二酸化炭素への導電性を付与に効果的であることが報告されているフッ化物塩(NaCF3CO2)を採用し、助溶媒(メタノール)と共に超臨界二酸化炭素(10MPa, 45℃)に混合させることで、単一相の導電性超臨界流体を得た。電極としては、対極にPt板を、プラズマ発生用電極に、クォーツチューブ内に挿入したW線を、それぞれ用いた非対称型電極を採用し、これに500~1000VのDC電圧を印可することで、超臨界流体中において電解プラズマ発生に成功した。本研究では、平衡論から逸脱した物質合成や高速合成が行える、非常に魅力的な反応場である超臨界流体プラズマの、量産型材料合成プロセスへの展開を目指し、超臨界流体プラズマ電解法を開発することを目的としている。本手法により形成されるプラズマは、電流をプラズマ発生用電極近傍に集中させ、電気分解及び、抵抗加熱により、低密度・強電界領域を形成し、その中でプラズマを形成する。そのため、一般的な気相プラズマと本質的に異なり、ジュール熱と電気分解反応によって電極近傍の低密度領域を制御することで、電極間距離に依存せず、電界を制御出来る。現段階では、超臨界流体電解プラズマ発生領域はサブミリメートルオーダーであるものの、電極面積の拡大により、容易にプラズマ発生領域を増大させることが原理的に可能である。今後予定通りプラズマ発生領域の増大を進めていくことで、超臨界流体プラズマが不向きとされていたマスプロダクションを可能とし、魅力的な反応場である超臨界流体プラズマ材料合成プロセスの産業的発展に大きく貢献するものであると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災により、約3か月の研究活動の実質停止を余儀なくされたものの、電極・窓付き超臨界流体反応容器、プラズマ発生用電源の調達とそのセッティングが完了し、導電性超臨界流体の検討、電極形状の検討を進め、当初計画通りに、初年度において本研究の核となる超臨界流体電解プラズマ発生に成功している。本研究は順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、超臨界流体電解プラズマ反応場を特徴付ける低密度・超臨界流体領域の組成・密度分布に関する知見を獲得するとともに、24年度においては印加DC電圧のパルス変調を行うことで、電気化学反応・熱的上昇による低密度領域形成とプラズマ密度を独立に制御していく。また、材料合成プロセスのモデル系として、電極材料からの微粒子作製プロセスを行い、超臨界流体プラズマ電解法の優位性を提示していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
東日本大震災により研究活動の実質停止を余儀なくされた期間分に対応する消耗品費を次年度に繰り越す。24年度は、23年度と比較し、実験条件が倍増するため、繰り越した研究費と合わせ、これに対応する。
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