研究概要 |
本研究では,金属材料の超音波接合を対象に,材料組織学的アプローチに加えて光学的計測手法を用いた接合メカニズムの解明を試みた.特に,超音波振動を接合部へ付加する接合工具と接合材との接合中における相対運動挙動に着目し,接合界面近傍の微細組織の変化との関係を調べた.この中で,平成24年度の研究では,前年度で確立した高速ビデオカメラによる接合過程の撮影,および画像相関法による相対運動解析の手法を,鉄鋼とアルミニウム合金の異種材超音波接合に適用し,その接合過程を調べた.また,異種金属間の接合においては、接合界面における固溶体相や金属間化合物相の生成が継手の接合強度を決める重要な因子となるため,これらの生成挙動とともに接合部の微細組織の変化を調べた。その結果,異種材の接合過程では、同種材の接合の場合と同様に接合工具と試験片間に生じる摩擦(相対運動)が接合部の温度上昇と接合部の塑性変形を誘発させることがわかった.そこで,被接合材の塑性変形挙動に注目し,同様の画像相関法を用いて接合部の変形解析を行ったところ,接合中には上記の相対運動と温度上昇によりアルミニウム合金内で塑性流動が生じ,接合部を拡大させることがわかった.一方で,接合が長時間になると接合界面において金属間化合物層が成長し,接合強さを低下させる原因となることがわかった.以上より,超音波接合において接合工具と被接合材との相対運動が接合部の形成を促進させる重要な因子となることを明らかにした.
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