研究課題/領域番号 |
23760692
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
大平 圭介 北陸先端科学技術大学院大学, グリーンデバイス研究センター, 准教授 (40396510)
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キーワード | 太陽電池 |
研究概要 |
本研究では、触媒化学気相堆積(Cat-CVD)法によりガラス基板上に堆積した水素化非晶質シリコン(a-Si:H)膜を、キセノンランプからの瞬間放電を利用した、ミリ秒の桁の瞬間熱処理であるフラッシュランプアニール(FLA)により、クロム(Cr)密着層を用いずに、膜剥がれ無く結晶化させ、太陽電池への応用が可能な、1ミクロン以上の膜厚の多結晶シリコン(poly-Si)膜を形成する手法を確立することを目的としている。平成24年度は、まず、スパッタa-Si膜を挿入した構造により、結晶化時の膜剥離抑止を試みた。これまでの検討により、a-Si膜中に残留する水素が膜剥離に影響をおよぼすこと、および、膜剥離は基板とSi膜の界面で起こることが明らかになっているため、このSi/ガラス基板界面に、本質的に多量の水素を含まないスパッタa-Si膜を挿入することで、膜剥離の抑止が可能となるのではと考え、検討を行った。しかし、スパッタa-Si膜/Cat-CVD a-Si:H膜の密着性が不十分であったため、膜剥離の抑止には至らず、別のアプローチが必要であることが分かった。そこで、ガラス基板表面に、反応性イオンエッチングにより事前に凹凸構造を形成することで、基板とSi膜の接触面積を増大させ、アンカー効果を利用することで、膜の密着性の向上を試みた。この手法を用いることで、FLA時のSi膜の剥離なく、結晶化可能な条件が存在することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膜剥離抑止に必要な基盤技術の確立が遅れたため、当初予定していた2年以内でのセル作製・評価に到達できていない。研究期間を一年延長することで、高効率セル作製に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
ガラス基板表面への凹凸形成によるアンカー効果を利用することで、膜の密着性の向上を確認できており、今後は、透明導電膜挿入の効果の検討、結晶化の際に自然形成される周期凹凸構造の裏面光散乱構造への応用と、スーパーストレート型太陽電池作製の作製および評価を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
膜剥離抑止技術の確立に、当初予定より時間を要したため、未使用額が生じたが、これを平成25年度に使用する予定である。平成23-24年度においては、研究を加速させるため、研究補助員の雇用を行っていたが、ある程度研究の目途が立ったことと、修士学生の配属が見込まれることから、平成25年度は研究補助員の雇用は行わず、消耗品購入等に使用する。 なお、実験装置などは、学内の既存のものを活用するため、新たな備品の購入予定はない。
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