研究課題/領域番号 |
23760707
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森貞 好昭 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (00416356)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 摩擦攪拌 / 溶射 / 超硬合金 / 組織微細化 |
研究概要 |
摩擦攪拌プロセス前の溶射超硬合金被膜には欠陥が散見されるのに対し、摩擦攪拌プロセス後の溶射超硬合金被膜においてはほとんど欠陥が確認されなかった。摩擦攪拌プロセス中の塑性流動により、欠陥が消失したものと考えられる。また、SEM-EDXマッピングにより溶射超硬合金被膜/基材(SKD11)の界面近傍における元素分布を観察したところ、摩擦攪拌プロセス後のサンプルでは、SKD11基材に含まれるFeの溶射超硬合金被膜への拡散が確認された。当該結果は、摩擦攪拌プロセスが基材と溶射超硬合金被膜との密着性向上に資することを示唆している。摩擦攪拌プロセス前における溶射超硬合金被膜の硬度は約1250 HV程度であり、欠陥が存在する領域では1000 HVを下回る硬度となっている。これに対し、摩擦攪拌プロセス後では硬度が大幅に向上し、1900 HV前後の領域が広範囲に確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は溶射超硬合金皮膜への摩擦攪拌プロセスを成功させること、及び摩擦攪拌プロセスを施した皮膜の組織、硬度等を調査することが主な目的であった。これに対し、種々の摩擦攪拌プロセス条件(ツール荷重、ツール回転速度、ツール移動速度等)を検討することで良好な塑性流動領域(改質領域)を得ることに成功している。また、改質領域の金属結合相はナノ組織化され、大幅に硬度が上昇していることを確認した。以上より、本年度の研究はおおむね順調に進展したと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1.種々の組織を有する超硬合金の機械的特性の評価 WC粒径、Co量及びCo結晶粒径が異なる種々の溶射超硬合金皮膜について、主に下記の特性評価を行う。ビッカース硬度測定:自動ビッカース硬度計を用い、皮膜の硬度マッピングを得る。破壊靭性値(IF法):50kgfでビッカース圧子を圧入した際に発生するクラック長から破壊靭性値を評価する。摩耗試験:大越式摩耗試験機を用い、S45C等に対する皮膜の耐摩耗性を評価する。2.機械的特性に対する超硬合金組織の最適化 1.で得た結果と超硬合金組織の関係をまとめ、超硬合金の機械的特性の向上に資する組織設計の指針を得る。また、当該結果を基に摩擦攪拌プロセス条件等を最適化し、理想的なWC粒径、Co量及びCo結晶粒径を有する超硬合金皮膜を創製する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に摩擦攪拌用ツール及び供試材である溶射超硬合金皮膜付きSKD61板を購入する。
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