研究課題
昨年度までに、摩擦攪拌プロセスを用いて溶射超硬合金皮膜をナノ組織化し得ることを明らかにした。当該ナノ組織化は、溶射超硬合金皮膜中に大量に存在する硬質粒子(WC粒子)によって摩擦攪拌プロセス中に金属結合層に導入されるひずみが増大すること、及び、ツールによって破砕された微細な硬質粒子が金属結合層の結晶粒成長を抑制することによって形成されると考えられる。当該組織微細化メカニズムを他の金属材料にも拡大適用するため、硬質粒子を有する種々の材料に対して摩擦攪拌プロセス施し、詳細な組織観察等を行った。加えて、摩擦攪拌プロセス中に硬質粒子を材料に分散複合化する手法についても検討した。例えば、レーザクラッディングを用いて形成したCo基合金肉盛層に対して摩擦攪拌プロセスを施し、 摩擦攪拌プロセス前の炭化物サイズがプロセス後の組織と硬度に及す影響について詳細に検討したところ、摩擦攪拌プロセス前における硬質粒子の粒径が最終的に得られる組織のサイズに大きく影響することが明らかとなった。炭化物サイズが約7~10 μmであるTIG肉盛Co基合金肉盛層及び炭化物サイズが約200~300 nmであるレーザクラッディングCo基合金層に摩擦攪拌プロセスを施した結果、摩擦攪拌プロセス後の母材結晶粒径はそれぞれ約500~700 nm及び約150~250 nmとなった。なお、XRD測定の結果、両被膜の構成相に関する差異は認められなかった。
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Materials Science Forum
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