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2011 年度 実施状況報告書

高分散性高次構造粒子の設計と複合材料系への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23760717
研究機関東京農工大学

研究代表者

飯島 志行  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70513745)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード表面・界面物性 / 複合材料・物性
研究概要

平成23年度では、粒子の材質によらず適用可能な高分散性複合粒子の調製プロセスの構築を検討した。設計した複合化プロセスは、複合化する粒子(A)の貧溶媒中で、多種の有機溶媒への高分散特性を有する機能性ナノ粒子(B)と混合することで、粒子(A)に粒子(B)を吸着する簡便なプロセスとした。まず、複合化する粒子(A)のモデル粒子として粒子径が約500nmの親水性SiO2微粒子、多種の有機溶媒への高分散特性を有する機能性ナノ粒子(B)のモデル粒子として有機鎖がPEG鎖とアルキル鎖に分岐したアニオン性界面活性剤を固定化した粒子径30nmのSiO2ナノ粒子を用い、混合する溶媒種が粒子の複合化状態に及ぼす影響を明らかにした。500nmのSiO2微粒子(A)の良溶媒に相当するエタノール中で高分散性ナノ粒子(B)と混合した場合は、高分散性ナノ粒子の吸着が認められなかった一方で、500nmのSiO2微粒子の貧溶媒であるトルエン中で混合した際には高分散性ナノ粒子の効果的な吸着が確認された。各種溶媒中での吸着試験を検討した結果、微粒子(A)と溶媒間の濡れ性が分散性ナノ粒子の吸着形態に影響を及ぼしている事が示唆された。高分散性ナノ粒子が吸着した複合微粒子は、多種の有機溶媒中での分散安定化が認められ、高分散性複合粒子の調製に成功した。また、このプロセスの他の材質への拡張性を確認するため、金属ナノ粒子(Auナノ粒子)や、疎水性のカーボンブラックナノ粒子について、その貧溶媒中において高分散性微粒子(B)との複合化を検討した。SiO2粒子と同様に、これらの材質の微粒子についても本プロセスが有効であることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度では、(1)粒子の材質によらず適用可能な高分散性複合粒子の調製プロセス(複合化する粒子をその貧溶媒下において、多種有機溶媒への高分散特性を示す機能性ナノ粒子と伴に分散させるプロセス)の構築と実証、(2)溶媒条件などの操作条件が粒子複合化状態に及ぼす影響の解明、(3)本複合化プロセスの多種材質への拡張性の確認、を計画した。モデル実験系として、親水性のSiO2微粒子(500nm)に対する、多溶剤分散性SiO2ナノ粒子(30nm)の各種溶媒中における複合化試験を実施することで、(1)粒子複合化プロセスの構築、および(2)溶媒条件が粒子複合化状態に及ぼす影響を明らかにしており、計画通りに研究が実施されている。また、(3)本プロセスの多種材質への拡張性についても、表面性状の異なる金属ナノ粒子や疎水性炭素系ナノ物質についても適用可能である事が示され、計画通りに研究が遂行されている。

今後の研究の推進方策

平成24年度では、平成23年度に得られた知見を基にして、高分散性複合粒子の調製プロセスで用いる機能性ナノ粒子種の拡張を検討する。具体的には、SiO2ナノ粒子の他、Agナノ粒子やTiO2ナノ粒子を用いて実施し、さらなるプロセスの拡張性を示す。あわせて、複合化する微粒子の表面性状(親・疎水性)や溶媒条件と高分散性ナノ粒子の吸着挙動の関係性から、機能性ナノ粒子の吸着メカニズムの解明を試みる。さらに、機能性ナノ粒子の代わりに、昨年度までに調製法を確立した複合化粒子を適用したうえで、複合化プロセスの繰り返し操作を施す事によって複合粒子の高次構造化を検討する。繰り返し操作中における粒子添加量、溶媒条件などの操作条件が得られる高次構造粒子の構造に及ぼす影響を整理する。また、ここまでに調製された高次構造粒子の各種有機溶媒中での分散安定性に加えて、複合材料系への微粒子を応用するため、各種樹脂材料における分散安定性を整理する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、23年度に購入した備品(卓上型プログラムマッフル炉)等が予定価格より安価に入手可能であったため発生したものである。24年度の研究費請求金額と合わせて、次の様な使用を計画している。設備備品として、高次構造粒子を樹脂材料に分散させた材料の粒子分散状態の評価および特性評価用途(電気伝導度、センサー特性)のピコアンメーターを購入する(1台×520千円)。消耗品費として、原料微粒子調製、表面修飾操作、粒子複合化操作で必要となる試薬等(100千円)、ガラス器具等消耗品(100千円)、分析機器用セル/高純度ガス(100千円)としての使用を予定する。旅費は、研究成果発表・情報収集を目的とした学会参加(国内:化学工学会第44回秋期大会(東北大学)を予定(70千円)、国際会議:米国(230千円))、謝金は外国語論文校閲と依頼測定(50千円)、その他の費用として研究成果投稿料(50千円)としての使用を予定する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] リン酸オレイルを修飾した酸化チタンナノ粒子の再分散特性2012

    • 著者名/発表者名
      飯島志行、田嶋真一、山崎美和、神谷秀博
    • 雑誌名

      粉体工学会誌

      巻: 49(2) ページ: 108-115

    • DOI

      10.4164/sptj.49.108

    • 査読あり
  • [学会発表] カチオン系およびアニオン系分散剤を交互吸着したシリカ微粒子の有機溶媒中での分散挙動2011

    • 著者名/発表者名
      田嶋真一、飯島志行、神谷秀博
    • 学会等名
      粉体工学会 2011年度秋期研究発表会
    • 発表場所
      大阪アカデミア(大阪府)
    • 年月日
      2011年10月18日

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公開日: 2013-07-10  

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