(1)酸化タングステン光触媒性能に及ぼす結晶子径と比表面積の相関性の調査 レアメタルであるタングステンの有効利用のため、光触媒性能へ及ぼす最適な比表面積と結晶子径を求めた。これにより、光触媒と結晶子径、比表面積の定量的関係を明らかにした。本研究では、温度、流体の速度を精密に制御できる新たな噴霧合成装置を作製し実験を実施した。その結果、同一の粒子外径(200nm)で、結晶子径を18~40nmで制御でき、さらに同一の結晶子径(30nm)で、粒子外径を50~839nmで制御可能となった。さらにこれらの触媒特性を評価することで、粒子径と触媒性能および結晶子径と触媒性能の相関性について定量的に評価をすることに成功した。 (2)白金担持カーボン系触媒の構造制御と合成プロセスの改良 白金担持カーボン触媒において、より比表面積が増大し導電率が高くなるカーボン材料の開発を目指し、中空ポーラス構造を持つカーボン材料および表面が窒素にドープされたカーボン材料を合成し、この後で白金ナノ粒子を担持することで触媒粒子の調製を行った。特に窒素がドープされたカーボンにより調製された触媒粒子の質量活性は、564 mA/mg-Ptであり、市販の触媒粒子の場合の220 mA/mg-Ptと比べて2.5倍高い結果が得られた。また、これまで2段階プロセスであった合成法を改良し、ワンステップでカーボン系触媒材料が合成できるプロセスを開発した。また触媒の耐候性についても評価を行い、市販の触媒粒子よりも優れた性能を示した。
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