研究課題/領域番号 |
23760732
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松山 清 福岡大学, 工学部, 助教 (40299540)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 構造・機能材料 / 光学材料 / 高分子重合 / 量子ドット / 酸化亜鉛 |
研究概要 |
ナノ粒子を工業的に利用するために液相および気相法をベースとしたナノ粒子集合体のプロセシング(製造技術)が検討されている。しかしながら、液相法においては溶媒除去時における界面張力による微細構造の崩壊、気相法では構造形成が困難といった問題点が指摘されている。本研究では、表面修飾ナノ粒子集合体形成時の液相および気相法の問題点を同時に解決するための手法として、超臨界CO2を合成場として用いる微細構造が制御されたナノ粒子集合体の環境低負荷型の製造技術の開発に挑戦している。特に、濃厚なポリマー鎖を表面に有するシリカや酸化亜鉛粒子(ZnO)の秩序構造体形成技術を提案し、新たなフォトニック(光学)材料としてのポテンシャルを有するナノ粒子集合体の製造技術の確立を研究目標としている。 本年度は、1)エタノール中でのLiOHを触媒とした酢酸亜鉛の加水分解による量子ドットZnOナノ粒子の合成、2)超臨界CO2での圧力誘起相分離による量子ドットZnOナノ粒子の表面改質に成功した。また、3)高圧二酸化炭素中での量子ドットナノ粒子の超音波分散技術を確立した。ZnO量子ドットナノ粒子は、添加する触媒であるLiOH濃度により蛍光波長が大きく変化し、LiOH濃度を制御することで、蛍光波長を480nm~580nmでコントロール可能であることが分かった。また、これらの量子ドットナノ粒子を重合反応により高分子と複合化する場合、3-(trimethoxysilyl)propylmethacrylate(TPM) やTetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane(TEOS)によりZnOを表面修飾することで、量子ドットナノ粒子の微細構造の崩壊や蛍光消失などの問題を解決できることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超臨界流体を用いた圧力誘起相分離法やシランカップリング材による量子ドットナノ粒子の表面改質技術を確立することで、ZnO量子ドットを完全分散の状態で高分子鎖中に固定化することに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ZnO量子ドット粒子を高次構造の制御された高分子鎖で表面改質および複合化させるために、超臨界流体中でのRAFT等のリビングラジカル重合法について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
合成した材料の乾燥や光学特性を評価するためのガラスチューブオーブンや紫外可視分光器を購入する予定である。また、表面改質に必要なシランカップリング材、リビングラジカル反応に必要な重合開始剤およびモノマーを購入する。 また、平成23年度においては、当初の計画に比べ、量子ドットナノ粒子の表面改質剤の選定が円滑に進み、表面改質剤の候補となる試薬の購入量を削減することができたため、繰越金が発生した。繰越金については、平成24年度において、リビングラジカル重合のための重合開始剤等の購入に充てる。
|