21世紀の化学は、環境を強く意識した発展が不可欠であり、物質変換においては、高選択的で超効率な触媒系の開発が望まれている。その達成には、クリーンで無尽蔵な光エネルギー(太陽光)を利用した選択的物質変換反応を可能とする光触媒の開発が重要な課題と言えるが極めてチャレンジングである。酸化チタンに代表される半導体光触媒は、酸化・還元力が強すぎるため選択性が低く、その応用は完全酸化分解反応などダウンストリームプロセスに留まっている。紫外光を利用した環化、異性化、転位反応なども古くから研究がなされているが、低収率・低選択性などの問題があり、実用化には適していない。そこで、本申請課題では、これまで不可能とされてきた高付加価値生成物を得る可視照射下での物質変換反応を、表面固定化光応答性金属錯体をモチーフにした新規具体的には、光触媒により達成することを目的とした。 可視光で駆動する表面固定化光応答性金属錯体の開発と選択的分子変換反応への応用を通して、全く新しい機能をもった次世代光触媒開発の斬新で画期的な方法論を提供することを目的とすし、以下の3つのサブテーマを行った。 1)強りん光発光性金属錯体を利用した高難度光酸素酸化の実現 2)有機-無機ハイブリッド型光水素発生デバイスの構築 3)表面プラズモン共鳴を利用した金属錯体の光触媒活性増強
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