研究課題/領域番号 |
23760748
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秋山 真一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (20500010)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 抗体 / 立体構造 / GPCR / 膜タンパク質 |
研究概要 |
本研究では、 "魚類細胞を発現宿主にした組換えタンパク質発現システム"を活用して、ネイティブフォームのヒト膜タンパク質を魚類細胞上に提示することで、従来技術で困難だった"ネイティブフォーム認識抗体の新規評価法の創製"を目指しており、H23年度は、下記の理由によりモデル抗原タンパク質を変更したことを除いて、当初の研究計画に準じて、実験装置類の整備、評価用ネイティブフォーム認識抗体の入手、抗原タンパク質発現ベクターの構築と発現実験、抗原-抗体結合性評価実験を実施した。 モデル抗原タンパクを研究計画時に予定していたヒトCalcium sensing receptor(hCaSR)を後回しにしてヒトPhospholipase A2 receptor(hPLA2R)を優先することに変更した。その理由として、(1)hCaSRに対する良質の市販抗体や患者由来自己抗体の入手が困難だったこと、(2)ネイティブフォームのhPLA2Rの発現・提示技術が早急に求められていたことが挙げられる。すなわち、hPLA2Rはネフローゼ症候群の原疾患である特発性膜性腎症の責任抗原として最近発見され、抗hPLA2R自己抗体の定性・定量法の確立が急務となっているが、抗hPLA2R自己抗体は膜タンパク質であるhPLA2Rの立体構造を厳しく認識するため、抗hPLA2R自己抗体を測定するためにはネイティブフォームを維持したhPLA2Rタンパク質の調製および提示が必要になる。しかし、hPLA2Rは哺乳類細胞に対して細胞毒性を有するためCHO細胞等の哺乳類培養細胞を用いた従来方法に代わる抗原hPLA2Rの安定的な発現・提示技術が求められていた。そこで、本研究で開発する魚類細胞による抗原提示技術がこの問題を解決できると判断し、モデル抗原タンパク質としてhPLA2Rを優先するに至った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
魚類細胞に提示するモデル抗原タンパク質として、研究計画立案時に予定していたヒトCalcium sensing receptorよりもヒトPhospholipase A2 receptor(hPLA2R)を優先することに変更したが、研究全体の進捗状況としては概ね順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
原則的にH24年度も交付申請書に記載した研究計画に沿って研究を継続する。すなわち、魚類細胞に発現させたヒト膜タンパク質(hPLA2R)-His-tag融合タンパク質と立体構造を識別する抗ヒト膜タンパク質抗体として特発性膜性腎症患者から取得した抗PLA2R IgGを用いて抗原抗体結合アッセイを行い、魚類細胞によるヒト膜タンパク質提示システムによるネイティブフォーム認識抗体評価系を完成させる予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
則的にH24年度も交付申請書に記載した研究計画に沿って研究を継続する。すなわち、魚類細胞に発現させたヒト膜タンパク質(hPLA2R)-His-tag融合タンパク質と立体構造を識別する抗ヒト膜タンパク質抗体として特発性膜性腎症患者から取得した抗PLA2R IgGを用いて抗原抗体結合アッセイを行い、魚類細胞によるヒト膜タンパク質提示システムによるネイティブフォーム認識抗体評価系を完成させる予定である。したがって、次年度の研究費の使途としては、検出用抗体や抗体標識試薬、魚類および魚類細胞の維持に必要な装置・培地類、プラスチック消耗品などの他、計算分析に必要なコンピューター備品およびソフトウエア、さらに、研究成果を発表するための学会旅費および雑誌への投稿料に使用する予定である。
|