研究課題/領域番号 |
23760763
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高田 卓 筑波大学, システム情報系, 助教 (30578109)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 超流動ヒートパイプ / 磁気冷凍 |
研究概要 |
超流動ヒートパイプの試験用チャンバーを製作した。簡便に実験が繰り返せるように、ガラスデュワーに真空チャンバーを沈め、この中に試験の心臓部であるヒートパイプ容器を製作した。また、途中に圧力をモニターしたバッファータンクを介してガスを封入する事で、ガスの正確な封入量を決定するなどのガス導入側のセットアップも完成した。これにより、ヒートパイプ内にヘリウムガスを、室温部から調節して封入できる。また、 ADRの運転サイクルの中で、励磁の際、発熱する常磁性塩を模擬して実験を行う為の、発泡金属を用いたヒータを製作した。発泡金属は非常に空隙率が高く、ほぼ一様な空孔が空いており、電気抵抗も比較的高い。本研究では、その中でも比較的抵抗率の高いSUS316材の発泡金属を選定した。これにより、数Aクラス程度の電流源を用いることで、ヒータとしての十分機能させることが出来るようになった。そして、これらの超流動ヒートパイプの熱流動実験のセットアップを完成させ、動作試験を完了している。一方で、比較実験の為に従来型の断熱消磁冷凍機のクロムカリウム明礬ソルトピルについて、実効的な熱伝導率測定を行った。これにより、従来型の放電加工による乾山のような形状に加工した熱交換用の無酸素銅では、クロムカリウム明礬と銅表面との界面抵抗が大きく、極低温において熱伝導の非常に高い4Nクラスの無酸素銅に使った場合でも、熱伝導の悪さは改善しなかった。一方で、本研究のアイディアである高圧ヘリウムガス封入型のソルトピルシェルの加工にもトライし、現在製作を完了し、測定準備にかかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度初旬については、2010年3月11日に起こった大地震の影響により、研究の基盤である実験室の機能を回復する事に注力した。そのため、研究の開始は概ね2~3カ月遅れて始まったため、大きく計画から遅れることとなった。また、使用予算が3割減額の可能性がある為、使用を留まるよう指導されていたため、外注によって製作しようとしていたいくつかの機械部品を内作にする、校正済みの温度計を購入予定だったものを実験室で校正するなど、減額しないとの通知が来るまで、手間をかける方向に計画の変更を行って対処していた。この事も研究計画から遅れた原因である。
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今後の研究の推進方策 |
常磁性塩ペレットと配し、He ガスを封じ切りで作成した常磁性塩ユニットの基礎データとして、ガス封入量を変えたいくつかのソルトピルユニットについて、実効的熱伝導率の測定を行う。また、前年度から継続して超流動ヒートパイプの熱流動現象を正確に知る為、ガス量を逐次変化させられる試験装置によって、設計指針に資するデータの蓄積をすすめる。また、超伝導磁石を用いて、励磁、消磁する中で性能試験を行う。この際、超伝導磁石を用いた熱伝達試験は、協力を得られる高エネルギー加速器研究機構から施設提供を受ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
常磁性塩容器の製作、真空チャンバー改造を行う。また、実験に液体ヘリウム、ガスヘリウムを使用する為、この経費に多く研究費を使用する予定である。また、成果発表に使用する予定である。
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