研究課題
本研究はプラズマを用いた流体制御アクチュエータの放電機構改善による性能向上の実証とその解析を行うことを目的とし、研究・開発を行ってきた。本年度は昨年度の三電極スライディング放電型のプラズマアクチュエータの基本性能解析の知見を元に、構成・駆動条件の最適化と風洞試験への適用による有効性検証を目指し研究を行った。構成・駆動条件の最適化については、三電極 (TED) プラズマアクチュエータからの誘起噴流の偏向特性の印加電圧等への依存性を解析し、噴流が明確な指向性を持ち流体制御に適用である条件の電極間電圧や放電状態を明らかにした。また、この際、噴流速度がSDBD構成に比べ明確に上昇していることを明らかにした。さらに、これまで特性が明確でなかった間欠駆動時の誘起噴流特性を調べた結果、生成される強い横渦の相互干渉が噴流速度の上昇にかかわっている可能性が確認できた。同時に、放電のモデル化と電磁場の数値解析によるプラズマアクチュエータの生成する誘起流のシミュレーションを実施し、実験結果との比較によりモデルおよび計算手法の改善を行った。これらの知見をもとにTEDプラズマアクチュエータを超音速航空機模型に適用し、風洞試験により航空機の大迎角剥離流抑制・制御に適用した結果、従来のSDBD構成に比べ大きな空力改善効果があることが確認された。また、プラズマアクチュエータの素子構成・駆動条件や適用位置を最適化し有効性を正しく評価するために、風洞試験時のプラズマアクチュエータ構成・駆動条件の最適化手法を開発した。ここではサロゲートモデルとGAを用いた実験による最適化システムを構築し、風洞試験における有効性を実証した。以上の研究成果によって、新規放電機構を用いたプラズマアクチュエータの優位性と、これを応用問題に適用するための基礎データおよび研究基盤を構築することができた。
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