本年度は、放電電極周りの絶縁対策、前年度構築された放電用電源特性計測、放電プラズマ特性計測、衝撃波とプラズマの干渉現象の可視化と圧力計測実験、非定常シミュレーションを行った。放電電極周りの絶縁対策にはマコール材を選定したことにより安定した放電が実現できるようになった。電源の電流電圧特性計測のためには、電源回路にバイパス抵抗を接続する工夫により、高電圧部を安全に計測できるようになった。本方法によりプラズマでの消費電力の算出が可能になった。放電プラズマ特性計測としては、プローブ法と分光法を組み合わせることで電子密度、電子温度の推定が可能になった。可視化計測では、シュリーレン光学系の構築を行い、高速度カメラを用いることで、衝撃波とプラズマの干渉の前後数10μ秒のオーダーの現象の連続可視化に成功した。放電プラズマとの干渉により、衝撃波形状が変調される様子が可視化により確認された。圧力計測の結果からは、放電場との干渉による衝撃波の減衰や放電場通過による圧力波形立ち上がり時刻の早まりが見られた。可視化結果と圧力計測の結果から、この圧力波形立ち上がり時間の早まりは、衝撃波形状の変調を示唆していると考えられている。非定常シミュレーションについては、放電場を模擬する単純な温度場モデルとの連成計算コード(2次元)の構築を行った。シミュレーションの結果から、温度変調場を衝撃波が通過する場合に衝撃波が変調され曲率を有することが示された。また、シミュレーション結果から得られた渦度分布から衝撃波の変調により渦度が誘起されていることが示唆された。 今後の展開として、シミュレーションコードを3次元に拡張し、実験の放電場を忠実に再現できる放電場を模擬するモデル構築を行うことで、実験とシミュレーションの有機的な統合解析へ発展させることが期待される。
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