研究課題/領域番号 |
23760783
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
眞田 有吾 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30467542)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 波面計測 / 水面反射光法 / 水槽試験 / 可視化 / 画像計測 |
研究概要 |
本研究課題は、ステレオカメラ法と水面反射光法(RLD法)の利点を兼ね備えたハイブリッド型波面計測システムを構築し、船体周囲波浪場の全視野計測の実現を目指すものである。平成23年度は、1)カメラ校正の精度検証、2)仮想反射像シミュレータによる最適カメラ配置および照明条件に関する検討、3)複数台のカメラに対応した画像同期撮影システムの構築3)複数視点に対応したRLD法の定式化についての検討、4)アイオワ大学水理科学工学研究所波浪水槽での試計測と検証を実施した。まず、複数枚の校正用ボード画像を用いるZhangの方法で内部パラメータの推定結果が不安定となる問題について、校正用ボード仮想画像シミュレータを構築して、校正に必要な最適枚数について検討した。次に、仮想反射像シミュレータを用いて従来のRLD法で問題となっていた、反射像が大きく変形するケースにおいて、カメラを水面に対し90°に近づけることによって変形を大幅に低減できることがわかった。このカメラ配置を実現するため、新たに超広角低歪レンズを導入することで、反射像の品質が改善されることがわかった。つづいて、小型CCDカメラと汎用ノートパソコン、高速画像取得デバイスで構成された複数台のカメラに対応した画像同期撮影システムを構築し、アイオワ大学波浪水槽において、ONRタンブルホーム模型(全長L=3.147m)の定常航走波計測を実施した。この結果、上記新レンズを装着したカメラ配置の場合において反射像の変形が低減可能であることが示された。また、複数視点に対応したRLD法の定式化を行い、実現可能性についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、ハイブリッド型波面計測システムを構築することを目的とし、本年度は1)最適なカメラ配置と照明条件の検討、2)二台のカメラによる画像取得システムの構築、3)上記システムを用いた試計測と検証を実施した。本年度実施予定項目の約90%が完了できており、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、Wigley模型船(全長L=1m)を新たに製作する。模型船近傍までを計測対象とするため、模型船には周囲光の反射を低減する特殊な塗料を塗布する。次に、複数視点に対応したRLD法のアルゴリズムについて、シミュレーションならびに角水槽での試計測で検証を行う。この検証結果をふまえ、製作したWigley模型船を用いて航走波計測を実施する。新計測システムを曳航水槽に導入し、システムの有効性の確認、ならびに上記アルゴリズムの検証用の画像取得を行う。実験には大阪大学船舶海洋試験水槽を使用し、従来の波高計による検証データも合わせて計測する。また、既存の計測結果と本手法による計測結果とを比較検討し、精度検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に実施予定であった樹脂模型および角水槽を用いた試計測と検証を取りやめ、平成24年度に実施することとしたため、これにかかる資材費を繰り越し支出する。これに加えて、低反射型塗料を塗布した新しいWigley模型船の製作費、実験用治具材料費、データ保存用ストレージデバイス購入費、国内の学会、国際会議での研究成果報告のための旅費、および学術雑誌への投稿料として支出する予定である。
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