平成24年度は、1)複数カメラに対応した波面再構成手法について検討、2)平成23年度にアイオワ大学波浪水槽にて実施したONRタンブルホーム模型船(ONRT)の航走波計測試験の画像解析と波高再構成を行った。まず、複数カメラに対応した再構成手法としてA)1領域目の再構成波高を2領域目の初期値として引き継ぐ方法、B)再構成前に全勾配データを全体座標系に変換し全体を一つの領域として再構成する手法、の二つを考案した。手法Aは、波高計のデータを与えるのは1領域目の一点のみでよくなり、これを静水面と仮定した場合、波高計に頼る必要がなくなる。手法Bは、手法Aと同様に波高計のデータが必要となるのは1領域目の一点のみで、全計測領域を一度に処理するため滑らかに連続した再構成波面が得られる利点がある。シミュレーション画像による検証結果から、手法Aは一度に処理する点数が少なく計算時間はわずかであるが、手法Bは点数が非常に多くなり、計算時間が増大した。また、手法Aは各領域での真値との差は僅かであっても次の領域へと計算を進めるに従い誤差が蓄積し、波高が小さい場合は良好な結果が得られないことがわかった。次に、ONRTの航走波計測試験の画像解析結果より、フルード数が小さく特徴点の移動量が小さい場合は特徴点の追跡と波面再構成が可能であり、フルード数が大きく特徴点の移動量が大きい場合は、撮影された反射像が不鮮明であるため解析が難しいことがわかった。これは反射像の変形を抑えるために超広角低歪レンズを使用したことによる影響であるが、より高感度で高フレームレートのカメラを使用することで改善は可能であると考えられる。また、今回は計測装置を定点に設置した計測であったため、画像のブレが大きくなったと考えられるが、計測装置が船とともに移動する場合は画像のブレは小さくなると考えられ、解析はより容易になると考えられる。
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