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2011 年度 実施状況報告書

簡便かつ超高回収・高選択的なレアアース捕集ポリマーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23760798
研究機関群馬大学

研究代表者

永井 大介  群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30375323)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードポリマー / レアメタル / 吸着 / 架橋ゲル
研究概要

高効率金属捕集ポリマーの合成を目的に、けん化度99%以上のポリビニールアルコールとイソチオシアナートの高分子反応により、硫黄原子を有する水溶性ポリマーを合成した。硫黄原子は原子半径が大きくソフトなルイス酸であるレアメタルを効率的に吸着できるため、レアメタルの1つであり携帯電話の電子基盤、自動車排ガス用浄化触媒などに用いられているパラジウムの吸着挙動を検討した。10 wt%のポリビニルアルコール誘導体の水溶液を4mmol/Lのパラジウム塩の水溶液に滴下したところ、一瞬で液滴が固まる現象が見られた。その後、時間経過とともにパラジウムイオンが液滴の表面から内側の順に吸着され、パラジウムイオンで架橋されたゲルビーズが得られた。他の金属においても特異的な吸着挙動を示し、金水溶液にポリマー水溶液を添加した場合は繊維状に、水銀の場合は板状に架橋吸着したゲルが得られ、金属によって異なる形状のゲルが得られることが明らかとなった。 さらに、他の金属の吸着挙動を調べたところ、高周期で原子半径の大きい金属が選択的に架橋吸着されることが分かった(パラジウム、白金、水銀、白金)。これは、硫黄原子が有機原子の中で原子半径が大きくソフトな塩基なため、ソフトな酸である原子半径の大きな金属を選択的に吸着したものと考えられる。このように本研究で合成したポリマーは、形状の異なる架橋ゲルの沈殿が見られたことから、金属塩混合溶液中での特異的な選択性が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前述のように、本研究で合成したポリマーは、特異的なレアメタルの吸着挙動を示すことを明らかにしたが、吸着量が少ないこと(ポリマー1gあたり金属0.1g未満)、および混合溶液中での選択性を検討していないため。

今後の研究の推進方策

1.混合溶液中での金属吸着選択性 前述のように、本研究で合成したポリマーは金属によって形状の異なるゲルが得られ、特異的なレアメタルの吸着挙動を示したことから、金属塩混合溶液中での特異的な選択性が期待できる。今年度は、様々なベースメタル(鉄、銅、ニッケル等)存在下でのレアメタル吸着選択性、および特異的な選択性を発現させることを目的とする。2.金属を吸着したポリマーの機能性材料への展開 本研究で合成したポリマーの水溶液をパラジウムイオンの水溶液に添加すると、一瞬で液滴が固まり、時間経過とともにパラジウムイオンが液滴の表面から内側の順に吸着され、パラジウムイオンで架橋されたゲルビーズが得られる。そのため、ポリマー中に金属が均一に分散されており、例えば有機合成用触媒に利用した場合、高い活性が期待できる。本研究では、パラジウムイオンを吸着したポリマーの高活性有機合成用触媒への応用を目的に、有用な炭素-炭素結合生成反応の一つであるヘック反応や水素添加還元反応における活性評価を行う。さらに、金属を吸着したポリマーを燃焼し、均一に金属が分散された炭素材料を得ることを目的とする。例えば、パラジウムが均一に分散された炭素材料が得られれば、高活性自動車排気ガス浄化触媒や太陽電池など電子材料への応用が期待できる。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度繰り越し分(1,785,000円)については、紫外可視分光器を購入する予定であった。しかし、紫外可視分光器の実施期間が平成24年度にずれこんでしまったことと、メーカーの都合で納品が平成24年度になってしまったため。 平成24年度分(800,000円)は、レアメタルやレアアースの吸着挙動や、吸着能を上げるためのポリマー合成、および吸着したポリマーの有機合成用触媒への応用を検討する予定で、そのために必要な消耗品を購入する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Reversible Chain Association/Dissociation via a CO2 Responsive Crosslinking/Decrosslinking System2011

    • 著者名/発表者名
      永井 大介
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 47 ページ: 8856-8858

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Controlled Polymerization of Epoxides: Metal-Free Ring-Opening Polymerization of Glycidyl Phenyl Ether Initiated by Tetra-n-butylammonium Fluoride in the Presence of Protic Compounds2011

    • 著者名/発表者名
      森長 久豊
    • 雑誌名

      Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry

      巻: 49 ページ: 5210-5216

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Metal-Free Ring-opening Polymerization of Glycidyl Phenyl Ether Initiated by Tetra-n-butylammonium Acetate and Its Application to the Hydroxyl Terminated Telechelic Polymer2011

    • 著者名/発表者名
      森長 久豊
    • 雑誌名

      Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry

      巻: 49 ページ: 4092-4097

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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