近年、リサイクルや資源の有効利用の観点から、使用後の製品を容易に解体する解体性技術が注目を集めている。光や熱などの外部刺激により粘着力が低下する刺激応答性易解体性粘着剤は、刺激を与えない状態では一定の粘着力を有するが、刺激を与えることで粘着力が短時間で著しく低下し、容易に剥離することが可能となる。本研究では光や熱などの刺激に応答し活性種を生成する潜在性化合物と、活性種をトリガーとして分解反応を引き起こす粘着性ポリマーを組み合わせ、刺激応答性易解体性粘着剤の開発を目的とした。 ポリウレタンおよびポリアセタールを主鎖とする易解体粘着剤を開発し、その最適化を行ってきた。ポリアセタール型易解体粘着剤は一段階で合成が可能であり、初期粘着強度も10N/20mmと高いものを作成することができた。熱酸発生剤を加え加熱することで、粘着強度を0N/20mmに低下させることができた。また、新たなトリガーとして超音波照射に着目した易解体粘着剤の開発を進めた。具体的には金属微粒子含有粘着剤を作製し、超音波照射に伴う粘着強度変化について測定を行い、最適化条件の検討を行った。また、熱酸発生剤を含有したマイクロカプセルは、超音波照射によりカプセルの破壊が起こり、熱酸発生剤の放出が起こることを確認した。また、マイクロカプセルを含有した粘着剤は、超音波照射を20分間行うことで粘着強度が10N/20mmから1N/20mmまで低下することを見出した。 これまでにない新しい易剥離粘着剤を開発するとともに、新しい活性種やトリガーの検討を行ってきた。その結果、超音波照射により易剥離可能な新しい粘着技術の開発に成功することができた。
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